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離島の保健師をやってみた!「島で学んだ100のこと」

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10年前に沖縄の離島で保健師をしていました。沖縄で、しかも離島で、さらに保健師として暮らした約2年間の日々を振り返ります。100回で連載終了の予定です。
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「離島の保健師をやってみた」第16回 〜離島の食生活!〜

 島にはいくつかスーパーもあり、観光客や地元民向けの居酒屋系のお店が数店あります。スーパーでは食材からパンやお弁当などまでひと通り揃っていますので、普通に自炊は可能です。ただ、暑さや湿度がありますので、食品類はすぐに傷んでしまいます。ですので、昼ごはんなどはお店系で済ませることが多かったですね。夜も疲れていたら外食系でした。  まず、朝ご飯は、おおよそ昨晩のおかずなどの残り+炊飯したお米あるいはパンです。お米は、やはりあまりもたない、そして炊飯したお米もすぐに傷みますので、

「離島で保健師をやってみた」第15回 〜はじめての沖縄本島〜 その2

 はじめての沖縄本島の出張で、島にはない本屋さんでウロウロとしたあと、おなかが空いたので、食堂を探し始めました。麺類がなかなか島にはないので、それ系がいいなと思い、「沖縄そば」という看板のお店に入りました。そして「沖縄そば」を注文しました。ちなみに私は沖縄に行くまで、沖縄の知識はほとんどゼロでした。沖縄に行ったこともなかったですし、沖縄にも特に興味はありませんでした。そんなおまえがなぜ沖縄に行った!と思われるかと思いますが、なかなか人生とはわからないものですね(笑)。  で

「離島で保健師をやってみた」第14回 〜はじめての沖縄本島〜 その1

 働きはじめて1週間ほどたったあと、課長さんから「沖縄本島の県庁や保健所に挨拶に行きましょう」といわれ、島に着いてから、はじめて島を出ることになりました。  この島の船は朝と夕方の2便だけで、朝の便だと沖縄本島につくのは11時頃です。夕方の便は沖縄本島発が16時頃です。つまり、朝10時より前の会議や行事がある場合、朝の船では間に合わないので、前日の夕方に出発します。夕方16時以降までかかる会議などの場合も、その日に島に帰れませんので、翌日に朝に帰ることになります。  です

「離島で保健師をやってみた」第13回 〜離島に着いたときのエピソード3〜

 島に着いて、道行く人たちから「?」という顔でよく見られました。島には、観光客がたくさんきますが、島の人間とそうでない人たちはすぐに見分けがつくようです。観光客でもないし、島の人間でもなさそうな私は、なじむまで時間がかかりました。保健師という職業柄、顔を売っておかないといろいろと不便もあるので、積極的に島を散策したり、行事に参加する必要がありました。もともと人見知りがちな私は、そういった島の住民の方と打ち解けるまでの努力はわりとたいへんでした。  実際に保健師として働き始め

「離島で保健師をやってみた」第12回 〜はじめて離島に着いたときのエピソード2〜

 保健師としての採用は6月からでした。数日前の5月下旬に島に到着しましたので、実際に働き始めるまで、数日、時間がありました。その間、島を見学したり、身の回りを整えたりしていました。  着いた日からの2〜3日は、すごく精神的に追いつめられた日々を過ごしました。島に着いた日の夜、ものすごい孤独感におそわれました。離島の船は、基本的に夜は運行しません。夜は船がでなくて、離島に取り残される感覚が激しく自分を襲い、不安と恐怖でいっぱいでした。少しずつその感覚は慣れていきましたが、キュ

「離島で保健師をやってみた」第11回 〜はじめて島に着いたときのエピソード1〜

 今回は、離島の保健師として採用が決定して、はじめて島に着いた日の話をします。  沖縄の小さな離島には、まず行くまでがたいへんです。朝一番で東京を出発し、電車→飛行機→モノレール→タクシー→船とあらゆる乗り物を経て、夕方に目的地の島に無事に着きました。バタバタとあわただしい1日でしたので、無事に着いた瞬間は、本当にホッとしました。  島に着いたら、採用時にお世話になった、役場の住民課の課長さんと非常勤の保健師さんが、船着き場で待っていてくださいました。今でもそのときの情景

「離島で保健師をやってみた」第10回 〜離島の診療所 その2〜

 平日は家庭訪問もあり、阿嘉島に行き、診療所でもご挨拶するのですが、夜間帯や休日は、役場や宿舎のある座間味島にいることが多く、お会いできないため、なかなか親しくお話しできるまでは時間がかかりました。阿嘉島&慶留間島エリアのみなさまには共通して、オフでお会いする機会が少ないです。それゆえのアンバランスな感じは島の人間関係にも大きな影響を与えていきます。  それぞれの医師は(少し大げさな表現ですが)基本的に24時間ひとりでひとつの島を守る必要がありますので、ほとんどの時間を島で

「離島で保健師をやってみた」第9回 〜離島の診療所 その1〜

 私の過ごした離島、座間味村はいくつかの島で形成されています。座間味村役場のある座間味島、その対岸にある阿嘉島、そして慶留間島、この3つの島が有人島で、あとはたくさんの無人島があります。阿嘉島と慶留間島は20年ほど前に大きな橋で繋がりました。座間味島と阿嘉島および慶留間島は距離がありますので橋はなく、村内航路の船による移動となります。  つまり、大きな括りでいうと、座間味村は二つのエリアに分かれています。座間味島エリアと、阿嘉島&慶留間島エリアです。日中は村内航路などがあり

「離島で保健師をやってみた」第8回 〜沖縄本島 出張編〜

 今回は、離島の生活から解放された「出張編」をお送りします。2年間の離島生活で、島の外、つまり沖縄本島および周辺の島々などに出張をした回数は、ほんのわずかでした。おおよそ月に1回ほどのペースで沖縄本島に行きましたが、保健師の研修は案外多く、全部参加していたら、週1ペース以上になるくらいです。陸地が続いている市町村であれば、すべて参加できるかと思いますが、離島の場合はそうもいかず(前回説明した通り、1日の研修が2泊3日になります)、かなり厳選して研修などへ参加していました。

「離島で保健師をやってみた」第7回 〜保健師のオンとオフ 100%保健師宣言?〜

 島で過ごしているときは、ほとんど100パーセント保健師でした。というのも、私が保健師として島に赴任して、約半年でおおよその島の皆様には紹介され、どこに行っても私が保健師であることは認識されていました。これは島の役場の職員や診療所のお医者さんなどはもちろんですが、島の人口も少なく、皆さんがいろいろなイベントで顔を合わせるため、おおよそ半年も住んでいれば、誰が誰だかわかるようになります。つまり島で知らない人がいれば、観光客や不審者扱いとなります。  ですので、ほぼプライベート

「離島で保健師をやってみた」第6回 〜離島での保健師の仕事って?〜

 まず、お話ししたいことは、離島でも、へき地でも、基本的な部分は、普通の市町村と同じということです。しかし、普通の市町村では複数の保健師さんで、業務が分担されていると思いますが、小さな離島の場合は、常勤の保健師は1名のところが多いため、保健師としての業務とされているものすべてを、ひとりの保健師で行う必要があります。病院でいえば、全病棟の勤務を任されている看護師さんと同じ感じでしょうか。とにかく全部です!(笑)  もちろんサポートはあります。私の場合は、常勤の保健師が自分、地

「デジタル看護入門」「離島の保健師をやってみた」合同テーマ 番外編③ 〜実際に離島で経験した医療✖️ICT その3〜

 ICT事業導入後、2年間は、特定保健指導対象者にアクティブタグを配布し,運動面でのデータ(毎日の歩数)とバイタルサインのデータ(毎日の血圧・体重)を蓄積しながら、健診結果をもとに「ヘルスメック」という健康管理支援ソフトを使用して,健康管理や保健指導を行いました。「フレッツフォン」というテレビ電話を使用して、遠隔保健指導も実施しました。  ICT実証実験対象者60名に対してアンケート調査を行っており、毎日の運動量の変化が、日々の生活改善のきっかけとなったと答えた対象者が半数

「デジタル看護入門」「離島の保健師をやってみた」合同テーマ 番外編② 〜実際に離島で経験した医療✖️ICT その2〜

 座間味村におけるこのプロジェクトは、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防のために2008年4月から国民健康保険対象者に義務化された特定健診および特定保健指導において、保健指導対象者へのより効果的なかかわりに着目したものです。  特定健診を受診され、「積極的支援」や「動機付け支援」に階層化された対象者には、生活習慣を振り返り、生活習慣の改善に導くための保健指導が必要となります。「積極的支援」や「動機付け支援」の対象者に対し、手軽に日々のバイタルサインのデータを測定・デ

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「離島の保健師をやってみた」写真集その1