あれから20年
母校の後輩を撮影し、初の個展を開いて20年になる。写真を始めて1年半。いま考えると少し無茶な感じがするが、何も知らなかったのが良かったと思う。
教頭に挨拶し、校内での撮影を許可してもらい、生徒各自にモデル契約書にサインしてもらった。
それを親にも見せるよう言い、時間のある生徒には海や市街地でも撮影させてもらった。そうやって70人ほど撮影したと記憶している。
東京に帰ると現像所にフィルムを出し、受け取ってプリントするカットを選び、暗室でひたすらプリントした。
六つ切りサイズに引き伸ばしたプリントを各生徒に贈った。そしてようやく、個展の準備に取り掛かった。29歳になろうとしていた。
2年生を中心に撮影したので、彼ら彼女らは今年で37歳になる。どんな人生を過ごしているのか。光と影のコントラストが徐々に際立ってくる頃。私がかつて贈った写真が、ほんの一握りの勇気になってくれたら、それは何より私自身の大きな勇気になるだろう。
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