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フェリアーレ❣️

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フェリアーレ(何でもない、でも素敵な平日) それは、けっこう貴重なことだったり、 そこにシアワセが隠れていたり、 そんなコンテンツを集めたマガジンです。
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2024年8月の記事一覧

私っぽい何か

週の真ん中っぽい、水曜の朝。 目覚ましがわりにコーヒーでも飲もうかと、 グリコは、 キッチンのエスプレッソマシンの前に立った。 「ヨネツチュウ シバラクオマチ クダサイ」 エスプレッソマシンに言われたので、 グリコは待っている。 彼が心の準備をしているのを、 待っている。 「そうだよねぇ、すぐには出せないよねぇ」 すると、 マンションのインターホンが鳴ったので、 グリコはすぐに出た。 心の準備はできていなかったけれど、 すぐに出ないと、 「不在」として、扱われる

それは「霧」よ

子供たちが〜 空を見上げ〜 ♪ っていう歌あったよねぇ〜。 白い塗り壁の3Fテラスから、 狭い通りの向かいにある1Fの花屋、 今日の空と同じ色の青いテントに向けて、 届かないと知りながら、 植物用の霧吹きを撒くケメコ。 夏。 両手を広げて、天井に向かって撒いた霧を、 自分でも浴びている。 「涼しくなぁ〜れ!」 グリコはキッチンでコーヒーを淹れながら、 ケメコの、 特に輪郭のない話を、 聞いているような、 聞いていないような、 でも、 リズムは合っている。 「あ〜