会社住所は、どこにするか?

株式会社設立シリーズですが、この問いは、会社設立freeeの二つ目の記入項目です。会社名はかなり自由ですが、会社住所を決めるには幾つかの制約条件があります。

会社住所のオプションと、分岐ポイント

オプションは、(1)自宅、(2)会社向け賃貸、(3)コワーキングスペース(シェアオフィス)、に大別されると思います。制約条件として、創業メンバーの人数が一人か複数か、家族がいるかどうか、別の問いである出資金、ビジネスモデルによるキャッシュフローの性質、銀行等との取引の可能性、顧客の属性などによって、とるべきオプションが変わると思います。

「自宅」のオプションは、プライベートへの浸食を許容できるかどうかでは判断

まず、創業メンバーの人数が一人か複数か、によって、(1)自宅、を使えるかどうかが変わると思います。大学ベンチャーや20代の会社設立ならば、誰かの家を会社住所にすることもあるかもしれませんが、家族を持つと難しい。一人で会社設立する場合も、家族と同居している住所を会社住所にすると、顧客が家に来る可能性も考えると、あまりとりたくないオプションです。勿論キャッシュアウトを減らすことができるので、そのメリットとデメリットの天秤でどうするか、を判断することになります。例えば、顧客が家にくることはないだろう、写真家やデザイナーみたいな業種の個人事業主、株式会社ならば可能かもしれないと思います。

「事務所」賃借か「コワーキングスペース」かは、キャッシュフローと情報入手の必要性から判断

続いて、(2)か(3)かの分岐として、出資金とキャッシュフローといったお金の話が出てきます。会社設立後に一定のキャッシュインが見込める、かつキャッシュアウトもそこまでかからないならば、最初から(2)の事務所を借りるオプションも良いと思いますが、そのような立ち上がりをできる会社は少ないと思います。プロダクトを中心としたビジネスモデルのキャッシュインは蓋然性が低く時間軸的に先で、キャッシュアウトが先行するので、できるだけキャッシュアウトにおける固定費は下げたいところ。他のビジネスモデルでも、できるだけ固定費は極力下げるにこしたことはない。当然ですが極めて大事なこととして、キャッシュインは自分で決められないが、キャッシュアウトは自分で決められることが格段に多い、という経営管理の常があります。そう考えたとき、キャッシュインの蓋然性が高まっていない段階では、(3)のコワーキングスペースにした方が賢明だと思うのです。

ちなみに、会社や事業の経営をしていく中での情報入手という観点からも、(2)より(3)の方が良いと思います。会社を設立すると、どこかの会社に属していた時に比べて、自分に入ってくる情報が減ってしまいます。しかし、コワーキングスペースは複数の企業が入っていることで多方面から人、情報が集まっています。そのコワーキングスペースをマネジメントしている企業も情報の収集と流通は気を使っています。よって、会社を設立し、自分たちの型ができるまでは、そのような場に身を置いた方が、情報収集の観点からも効率が良いと思います。

コワーキングスペース利用に伴う「実在性」には注意

ただ、(3)のデメリットとしては、世の中の信用が相対的に低くなる点があります。例えば、銀行等の目線からは、企業・事業の実在性に疑義を持つポイントになってしまい、メガバンクの多くからは法人銀行口座が持てないことになってしまう可能性が高いです。そのデメリットも勘案して、(2)か(3)かを選択するべきかな、と思います。

会社住所に関する私の思考プロセス

私は(3)にしました。家族もいる中、家を会社住所にするのは落ち着かず、安定を得られないと思った点がまずあります。また、キャッシュフローと情報収集の点で魅力的でした。やはり事務所を借りるのはどんなに安価な物件でも人を一人雇うくらいの固定費になってしまいます。一方、銀行口座は、会社設立したタイミングでメガバンクが銀行口座でなくてもよい、と割り切りました。メガバンクの銀行口座を持つ目的は、結局自分の取引先からの信用の獲得につながる点が挙げられますが、私はこれまで多くのパートナー企業と取引をしてきましたが、銀行口座がメガバンクかどうかが選択基準になったことがなかったためです。メガバンクかどうかが選択基準になる会社もあるのかもしれませんが、当面、そのような会社とは取引する機会はないのではないか、と思ったのです。

おわりに

ということで、会社住所も結構大事ですね。日々過ごす場所ですし、門構え的なイメージも多かれ少なかれあると思いますから。そういう意味で、しっかりと考えて決めるわけですが、色々と書かせて頂いた観点をご参考にして頂ければと思います!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?