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Uber Eatsと出前館の戦略の裏側

外出自粛の影響を受けて、デリバリー市場が活況を見せています。この市場の二大プレイヤーがUber Eatsと出前館ですが、どのような取組みをしているかを勝手に考えてみました。

Uber Eatsと出前館の最近の雰囲気

まずは、Uber Eats。最近はテレビをつけると、黒柳徹子と小松菜奈のCMが流れています。ここぞとばかりに、サービス認知率を上げ、デリバリー機会における想起率を高めようとしています。

一方の出前館。出前館はLINEと資本業務提携をして、昨年末にはダウンタウンの浜ちゃんがCMで登場して、積極的な姿勢を見せていました。しかし、このタイミングでCMが全然流れていません。これは、なぜでしょうか?

L2Lのビジネスモデルのポイント

考えていく前に、両者のビジネスモデルについてです。ビジネスモデルは同じで、Local To Local(L2L)のマッチングプラットフォーム。家で食事をしたいユーザーと飲食店をマッチングさせますが、とあるエリアに住んでいるユーザーは、概ね同じエリアにある飲食店に注文しデリバリーされ、遠隔のエリアにある飲食店に注文しデリバリーされることはない、というのが大きな特徴です。

例えば、高田馬場に住んでいる人は、高田馬場エリアにある飲食店から自分が食べたいメニューを選び、注文します。もし、食べたいメニューがないならば、妥協してそこまで食べたくないメニューを注文するか、コンビニやスーパーに駆け込むことになります。要は、各エリアに住むユーザーが選択に足る飲食店やメニューが揃っていないと、そのアプリに沢山人が集まっても、注文率(コンバージョン率)は低下します。

加えて、注文後にはデリバリーが必要ですが、デリバリーのリソースが不足していると、デリバリーの所要時間が長くなり注文率が低下する、または、デリバリーのリソース以上に注文量が増えると、注文してもデリバリー時間が想定よりも長くなり、顧客満足度は著しく低下することになります。

ビジネスモデルを踏まえて考えると、CMを流すとアプリのユーザー数が増加します。その時、各エリアの飲食店やメニューの量が不足していると、多額の広宣費を投下してアプリにユーザーを流入させても、アプリダウンロード数やインプレッション数が激増したとしても、注文数は同程度で増えません。同様に、CM実施前に対して、注文数が増加したとして、デリバリーのリソースが不足していると、デリバリー時間が長くなり満足度の低下によりサービスの離脱数が高まります。

直近のCMの意思決定に関する推察

以上を踏まえて、Uber Eatsと出前館の裏側を推察していきます。

Uber Eatsは、外出自粛の機会を好機と捉え、CMを鬼踏みしています。今CMが流れているということは、2月から波をオーダーしていると思います。コロナ影響を見据えて、同時期に賢明な会社はCMを止める判断をしていると思いますが、逆に、Uber EatsはCMを踏む判断をしたということだと思います。

一方、出前館は、Uber Eatsと同じタイミングで判断をしきれなかったのではないか、と思います。2月に判断できるのは結構意思決定が優れている会社ですが、さすがにそのタイミングではできなかったのでは。しかし、3月になったタイミングではかなり状況が明らかになり、そのタイミングで判断した可能性があります。5月のGWかその後に、出前館のCMがかなり流れる可能性があります。

中長期的なユーザー拡大に関する打ち手の方向性

この自粛モードが程度は別として長期化することを考えると、プロモーションだけでなく、前述したような、飲食店やメニュー数の増加と、デリバリー体制の強化への取組みが重要だと思います。

二つのアプリを見ましたが、思ったより飲食店数が少ないというのが第一印象でした。どちらかというと、私が住んでいるエリアでは、出前館の方が充実していましたが、どちらにせよ、ユーザーの注文率を上げるためにも、飲食店数を増やす必要があります。

直近のUber EatsのCMは、ユーザーに向けたCMでもありますが、飲食店に向けたCMでもあります。CMの露出を見ることで、掲載に至る飲食店も多いのではないかと推察します。そのような飲食店によるインバウンドの動線設計も重要だったりします。

一方で、デリバリーをしたことがない飲食店にはデリバリーに参入することに一定のハードルがあると思いますので、このフォローをすることが飲食店数を増やすポイントなのではないかと考えています。既に掲載している飲食店は比較的体力があるチェーンを中心としたところです。通常デリバリー対応まで手が回っていない飲食店を掲載してもらうためには集めのフォローが必要ですし、それらの飲食店は、色々なデリバリーのマッチングサービスとやり取りするリソースもないと想定されることを考えると、早く取引をした方が良いとも言えると思います。

デリバリー体制については、他業種のアルバイト等とのアロケーションになろうかと思います。現状、消費が冷え込んでおり、アルバイトをできない人が増えているので、それらの人をデリバリーにシフトできるかどうか。そのようなことを意識しながら採用の取組みをすることが必要ではないかと思います。

おわりに

個人的には妻がちゃんと料理をしてくれるので大変助かっており、デリバリーサービスを利用する機会がないのですが、そのような状況にある家庭や人も多くはないと思うので、Uber Eatsと出前館を筆頭にデリバリー業界を盛り上げてほしいと思います。


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