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いわきFC:必見、加瀬選手のスライディング・プレス!

 J2リーグ第5節、対徳島ヴォルティス戦、1-0(前半0-0)でいわきFCの勝利。この試合は、なかなかのナイスゲームで、とても面白かった。先週は、ユアテックスタジアムを初めて訪れ、J2初勝利を祝えたので、今週は、一進一退の好ゲームを余裕をもって愉しむことができた。この試合の前半は、徳島の時間帯といわきの時間帯が交互に訪れるような展開で、あっという間に時間が経ち、両チームとも得点なく0-0で終えた。
 両チームのサッカースタイルは、まったく違うものである。徳島の新監督35歳のスペイン人、ベニャート・ラバイン氏は、レアルソシエダで分析官をやっていた人で、新しいやり方を徳島にもたらそうと努めている。ショートパスによるビルドアップを重視。しかし、必要に応じてはロングパスで、サイドチェンジや裏狙いもする。徳島の選手達は、ボール扱いの技術が高く、いわきのハイプレスを逃れ、サイドチェンジで活路を見出していた。一方のいわきは、いつものように「前へ、前へ」の速攻スタイル、ハイテンポで人とボールがこ気味が良く動く。ラバイン監督も「いわきのダイレクトプレーは、好きなスタイル」とも述べていた。実際、両チームのスタイルの違いは、パス成功数にはっきりと表れた。徳島は534本(成功率80%)、いわきは257本(63%)。徳島がGKを起点にビルドアップを図る。そのビルドアップの隙をいわきの選手たちが虎視眈々と狙う様は、まるで侍と侍の真剣勝負でのつばぜり合いを見るようであった。
 しかし、プレスを受けながらパス回を強いられた結果、徳島の選手たちの動きが鈍ったのか、後半はいわきが押し込む展開となり、ついに26分、いわきが先制した。コーナーキックの中途半端なクリアを、今回は、宮本選手が高いスロスをファーサイドへ送ると、有田選手がゴール前に丁寧に折り返し、谷村選手がゴールに叩き込んだ。この試合、谷村選手には、何回もシュートチャンスが来ていてが、相手GK田中選手の好セーブに阻止され続けていた。だが、このシーンでは、確実に蹴りこんだ。その後、徳島は、選手交代などで攻勢をかけ、タイムアップ間際には、何回もおしいチャンスを作って、こちらをひやひやさせたが、結局は、いわきの体を張った守備を突破できなかった。
 ところで、いわきの守備でのプレスは、全員が素晴らしいのだが、特に、加瀬選手のそれは、仙台戦に続き、この試合でも目立った。加瀬選手だけ注目しても、いわきの試合を十分愉しめると言っても良いぐらいだ。圧巻だったのは、スライディングプレス。有田選手もやるが、小柄な加瀬選手がやると、スピード感が半端ないうえに、「えっ、そこまでやるの」というRelentless(容赦ない)。右サイドから左サイドまでやって来ては滑り、しかも、二度追い、三度追いをする。さすがに、今回は、足がつってしまったようで、後半36分にリタイア、杉山選手と交代した。加瀬選手は、シュートも2本放ったが、もっともっと打てば、本当にミニ岩渕と呼んでも差し支えないだろう。
 試合翌日の20日(月)、いわきパークで、拓殖大学との練習試合を見た。杉山選手、河村選手、加藤悠馬選手などが良い動きを見せていた。徳島戦でJリーグデビューを果たした坂元伊織選手も後半に登場した。坂元選手(18歳)は、「フランス代表のオリヴィエ・ジルーのようになれる」とも言われているが、拓殖大戦では、「まだまだ」との印象だった。ジュビロ磐田の後藤選手(17歳)は、すでに3ゴールを記録。坂元選手の活躍も期待したい。こんどの日曜日は、首位の町田をホームに迎える。青森山田の監督だった黒田新監督が率いるチームである。青森山田を卒業している山下、嵯峨選手は、恩返しのチャンスである。とても楽しみな一戦である。

 

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