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甘い香りに誘われて。

ココナッツバターの香りをまとって
一夜の女神が訪ねてくる
貸し借りの無い夜を分け合おう
Hey Hey Hey-Ya!

ココナッツ•バター/麗蘭

小学生の頃、夏の暑い日。珍しく母親が昼過ぎに仕事から帰ってきた。その日は沢山汗をかいたのだろう脇が異常に臭かった。初めて嗅いだそのむせ返る様な匂い。
思わず顔を背けたくなるその匂いが大人の匂いだと思った。
自分の脇からも同じ匂いがするのが楽しみだったし、初めて自分からその匂いがした時は何度も何度も嗅ぎ直した(今でも)

そう、僕は匂いフェチだ。

性的嗜好と食の好みはリンクしている。と言われるが、なるほど、確かに飲食時においても香りは十二分に僕を楽しませてくれる。
チーズや納豆などの発酵食品、紫蘇やバジルのハーブ類、肉の脂や魚介類の磯の香り。スーパーのスパイスのコーナーなんか大好きだ。
でも、香水や柔軟剤の様な香料の匂いは僕には刺激が強過ぎて、鼻水が止まらなくなる。いわば匂いの暴力だ。

香りというのは大切なサインで、言うなれば情報でありメッセージだ。食品で言えばこの匂いの元が発酵からなのか、腐敗からなのか、大切な判断基準になる。
ハーブやスパイスは植物達の防衛の為の香りだし、毒でも有り、毒消しにもなる。毒を持って毒を制すのだ。
例えば好きな子のシャンプーの匂いに隠された頭皮の匂い、月経時に強めに香水の匂いでバリアを張ったり、香りの奥行きというか、隠されたフェロモン、恥ずかしいメッセージ、性の情報、本能のサイン、生の証明。それを嗅ぎ取るのが好きなのだ。
以前アメリカで異性の体臭だけで人は恋に落ちるのかと言う実験が行われたらしいが、結果はともかくとして、確かに明らかに好きな匂いというのはある。
初めて付き合った人は軽度のワキガだったのだが、高校を卒業してすぐに手術をしたそうだ、残念でならない。
今でもあの匂いを嗅ぐと頭の奥が痺れる様な例の感覚に襲われる。
クラクラして目がトロンとしてくるのが分かる。敏感にフェロモンを感じて反応してしまうのだろう。

雨に濡れたアスファルトの匂いにノスタルジックを感じるように。
他所の台所の換気扇からその家の晩ご飯が想像できる様に。
汗の蒸れた匂いからその日の労働を想像出来るし、その日の感じたストレスの量を測れるし、口臭から体調を知る事も出来る。
ベッドの上で服を脱がした後、肌に浮かぶ新鮮な汗からは緊張と興奮を想像できるし、本当に多くの情報、メッセージ、サインを受け取る事が出来る気がしてならない。
胸いっぱいに大好きな人の匂いを吸い込み余す事なく堪能したい。
より多くの情報が欲しい、基本的に僕は欲張りなんだろう。

誘発のメロディー ココナッツバター
魅惑の手ほどき ココナッツバター
お前は可愛い ココナッツバター
ココナッツバター/麗蘭


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