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ワイキキの青い空/カラパナ (‘75)

Kalapana / Kalapana (‘75)
‘70年代半ばの音楽シーンで印象深いムーブメントの一つである「サーフロック」のアルバムを今回は紹介させていただこうかと思う。今回の「カラパナ」はハワイのバンドであり、メンバーは、マラニ・ビリュー(ギター、ボーカル)、マッケイ・フェアリー(ギター、ベース、ピアノ、ボーカル)、D・J・プラット(ギター、ボーカル)、カーク・トンプソン(キーボード、ボーカル)の4人となっている。

本作はアメリカでは’75年にリリースされた彼らのファーストアルバムであるが、国内では’77年に初めて紹介されている。当時の国内の風潮として、微妙な邦題がつけられており、彼らもまた「ワイキキの青い空(Kalapana)」「ワイキキの熱い砂(Kalapana II)」「褐色の誓い(Kalapana III)」という邦題がつけられていた。

‘70年代半ばといえば、ウェストコーストの文化が注目を集めていた時期でもあり、サーフィンなどの流行と相まって、彼らの音楽も注目されることとなった。本作からは「ナイトバーズ」、76年作のセカンドアルバムからも「愛しのジュリエット」がヒットした。しかし、セカンドアルバムのリリース後、マッケイがバンドを脱退、ランディ・アロヤ(ベース)、ゲイロード・ホロマリア(キーボード)の加入により、ロック、フュージョンの色合いが濃くなったサウンドが’70年代後期のフュージョンブームと重なり、人気を博していった。

その後、バンドは順調に活動を続けるものの、徐々にソロ活動に重心を置くようになり、ついには自然消滅してしまうが、80年代半ばに日本人ベーシストのケンジ・サノ(元VOW WOW)が加入し活動は継続した。しかし、’99年にドラッグの使用による暴行事件で収監されていたマッケイが獄中で自殺するという事態が発生した。紆余曲折を経た現在でもバンドは活動を続けている。

‘70年代のムーブメントとしての「サーフロック」はサザンロック同様、活動地域を重要なポイントにしたものである。特にサーフロックは、昨今のAORやシティポップの流行の一因になったのではないだろうか。

トリオ(現盤アバトワ) 国内盤
裏ジャケット

サウンドはまさにAORの到来を予想するような雰囲気を持っており、楽曲の良さやハーモニーなど、国内での人気の高さが理解できる。

ライナーノーツ
ライナーノーツ裏

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「サーフロック」〜流行らないが、名盤多しである。

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