ベスト・オブ・ブリティッシュ・ロカビリーズ Vol.2/ヴァリアス・アーティスツ (‘82)
Best of British Rockabillies Vol.2 / Various Artists (‘82)
アメリカのバンドながら、イギリスから登場したストレイ・キャッツによるネオロカビリーのムーブメントは、瞬く間に多くのフォロワーを生み出すこととなった。本来、イギリスには「テッズ(テディ・ボーイズ)」や「ロッカーズ」といったカルチャーとロックンロールはセットになっていた経緯があり、ロックンロールやロカビリーが市民権を得ていた土地柄であった。
本作はそんな’80年代初期に、ネオロカビリーとしてコンパイルされたアルバムである。収録バンドも、レストレス、デルタス、ブルー・キャット・トリオ、ホット・ロッド・ギャングなど、初期のネオロカビリーの名バンドとして活躍するバンドである。
この後、よりスピーディなリズムとポジティヴ・パンクなどのホラー要素、スラッシュメタルなどのエッセンスを融合させた「サイコビリー」が登場する。初期サイコビリーのバンドで有名な「メテオス」は’80年に結成され、’83年にはアルバムをリリースしているので、ネオロカビリーの時代は非常に短かったと考えられる。
本作の収録バンドでは、「デイヴ・フィリップス&ホット・ロッド・ギャング」がお気に入りである。「レストレス」のギター、マーク・ハーマンとブルー・キャット・トリオのベース、デイヴ・フィリップスによるネオロカビリーのサウンドは痛快であった。
YouTubeの音源をどうぞ。「ワイルド・ユース/デイヴ・フィリップス&ホット・ロッド・ギャング」
「ロング・ブラック・シャイニー・カー/レストレス」
「タイアード&スリーピー/ザ・ブルー・キャッツ」この曲のオリジナルは、コクラン・ブラザーズである。
ネオロカビリーはサイコビリーに駆逐された部分もあるが、サイコビリーの時代に登場した「バットモービル」や「ロング・トール・テキサンズ」はネオロカビリーのバンドと言っても過言ではないほどのロカビリー度だった。
興味深いのは、新しく登場するバンドほど、よりレアな過去音源のカバーをしている点が挙げられる。いつの時代も意外なほど「オタク」が力を持っているように感じる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?