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レコード・コレクターズ/特集:サザン・ロック

レコード・コレクターズ誌の‘89年12月号は「サザンロック」の特集であった。当時はサザンロックという言葉が死語の時代で、「サザンロックが好き」と言えば、「サザンオールスターズいいですね」という漫才のようなやり取りが普通だった。

私は当時20代半ばで、バンドではブルースロックを演奏していたものの、よくある4人編成ではなく、もっと大人数でノリの大きな音楽を演奏したいと思っていた矢先だった。かなり前からレコード・コレクターズ誌とミュージック・マガジン誌は特集によっては購入していたので、この号が発売された時は、まさしく「おっ」という感じだった。

今となっては、ウィキペディアの方が詳しく書かれていたりするが、当時はまだインターネットのない時代で、書籍による情報収集が一般的であった。そんな中で、オールマンズ、スキナードのアルバム解説や、その他のアーティストのアルバムをピックアップして紹介されていたのは、当時の私にとってはバイブルであった。

その後、何年かかけて収録されていたアルバムはほとんど購入したが、それらを探す中で、さらなるバンドやアーティストを知ることになり、サザンロック好きに拍車がかかった状態になった。

本編記事も目を皿のようにして読み耽ったが、一番惹かれたのは「キャプリコーン・シリーズ」と銘打った、ポリドールからのCD発売広告だった。この時点でも、オールマンズの「フィルモア・イースト・ライヴ」や「シー・レヴェル」は所有していたが、先日紹介させていただいた、キャプリコーン・レコードのアーティストによるライヴ音源のみのコンピレーション「ホテルズ・モーテルズ&ロードショーズ(邦題:燃える!)」を、なんとしても手に入れたかった。

キャプリコーン・シリーズ

それでもなんとか入手したものの、海外のレビューを読んでいると、どうもおかしいと感じるのである。後から調べると、CD化の際にマーシャル・タッカー・バンドの2曲がカットされていたのである。その後、アナログレコードを探し回り、’02年頃にロサンゼルスのアメーバ・ミュージックで購入することができた。

それ以外にも「メイコン・トラックス/グラインダースウィッチ」も日本初登場だったので、こちらも購入した。その後、アナログレコードを入手するまでは、何度も繰り返し聴いたものだった。

メイコン・トラックス/グラインダースウィッチ

そんな紆余曲折を経て、サザンロックのアルバムを収集するに至ったのである。今ではサブスクで簡単に音楽が聴けるが、当時はアルバム1枚を入手するまでに、どれだけの労力が必要だったか計り知れない。

擦り切れるまで読んだ

部屋から溢れるほど、レコードやCDを集めてきたが、この本から受けた影響は計り知れない。この後、洋書のサザンロック解説本へと進んでいくのだが、’89年にここまで詳しく解説された本はなかったと思う。

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