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上海バンスキング/吉田日出子 (‘81)

「上海バンスキング」は、戦前の上海で運命に翻弄される日本人ジャズマンを題材にした演劇で、’79年の初演から平成まで繰り返し上演された。また、松坂慶子主演により映画化もされ、主題歌「上海バンスキング」は、本作の吉田日出子と映画版の松坂慶子のいずれの歌唱も高評価である。本作は、そのオリジナルキャストによるアルバムである。

‘81年のリリース時にアナログ盤を購入し、繰り返し聴いていたが、引越時に紛失してしまい、その後、廃盤になったため長期間入手できずにいた。もっとも価格を気にしなければ入手は可能だったが、適正価格での購入を原則としているので、時期の到来を待っていた。

日本語によるジャズボーカルの雰囲気が素晴らしく、ちょうど私の親世代が若かりし日にラジオで聴いたであろう曲が収録されている。またジャケットのイラストも素晴らしく、レコードプレーヤーをお持ちでない方でも、アナログ盤の購入をオススメしたい。

ショウボート 国内盤
裏ジャケット
ライナーノーツ

昨今のシティポップではないが、’80年代の同時期にリリースされたアルバムとして、現在でも十分通用するサウンドである。

私にとっては、幼少期に親が聴いていたディキシーランドジャズや、本作のようなジャズボーカルこそがジャズである。音楽を趣味とするようになってからは、一般的なジャズも聴くようになったが、「昭和の香り」のような本作には懐かしい気持ちにさせる良さがある。
部屋に飾るだけでも値打ちのある一枚。

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