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コンダクターシップ実践ケース:JPBV 価値を大切にする金融実践者の会

金融分野においてはコンダクターシップをテーマに掲げ、新たな金融モデルを生み出していく動きとしてJPBVがスタートしています。金融は経済の基盤であり、非常に大きな影響力を持っています。金融の変革は社会の変革につながります。非常にチャレンジングですが、金融関係者のみならず、多様な方々との協働で新しい未来に向けて現在動いています。


〇JPBV:価値を大切にする金融実践者の会 概要
JPBV(THE JAPANESE PRACTITIONERS FOR BANKING ON VALUES: 価値を大切にする金融実践者の会)は、日本の金融をリデザインするプログラムです。これは日本の、特に地域金融におけるオープンイノベーションの取り組みであり、金融機関関係者のみならず金融を取り巻く事業者、地域の利用者などを巻き込んだコミュニティ再生・地方創生のプログラムでもあります。

発起人の代表は金融の変革にこれまでも挑み、いよいよ自分の会社を立ち上げて本格的に推進することになった、「対話する銀行」の著者で会える江上広行さん。ちなみに江上さんはコンダクターシップのトレーニングプログラムを一緒に提供しています。そしてもう一人の発起人は、価値を大切にする金融の代表的実践者である第一勧業信用組合 理事長の新田信行さん。地域密着だからこそできる金融の在り方を実践し、全国の志ある地域金融関係者とのネットワークを張り巡らしています。最近では著書「よみがえる金融」が話題になっています。ちなみに私も共同発起人の一人として名前を連ねさせてもらっており、JPBVのベースとなる”かせぐまちづくり”の方法論と、その実践者としての在り方として”コンダクターシップ”の考え方を提供しています。

JPBVでは後述するGABV加盟金融機関などのグローバルな取り組みを調査・研究するとともに、”かせぐまちづくり”や”コンダクターシップ”といった考え方を適用して、地域金融の変革を実践レベルで進めていきます。すでに一部の金融機関にて”かせぐまちづくり”をテーマとした戦略ワークショップと、”コンダクターシップ”に基づいた人財育成プログラム、ティール組織・ホラクラシー経営の実装施策の提供を開始しています。もちろんFintechなどの施策もここに含まれていきます。

現在、JPBVには金融機関のほか、行政関係者、学術関係者、大手企業(IT、メーカー、保険など)、ベンチャー企業が競合関係を超えて参画を表明しており、今後も価値を大切にする金融実践者をつないでいきます。


〇GABVからの学び
JPBVの背景にはGABV(The Global Alliance for Banking on Values)の取り組みがあります。GABVは持続可能な経済・社会・環境の発展に対して融資をするという使命をもった銀行や協同組織金融機関で構成されており、2018年9月時点で54の金融機関が参加しています。そしてその収益力は世界の名だたる巨大金融機関を凌いでいます。日本からは唯一、新田さんが理事長を務める第一勧業信用組合が加盟しており、そのコーディネートを行ったのが江上さんとなっています。

そして実はこのGABVへの加盟が本当に大変なのです。GABVには、ビジネスモデルがトリプル・ボトムライン・アプローチである(社会的、経済的、環境的な側面を総合している)こと、実体経済に根ざしていること、透明性があること、長期的な視野に立っていること、顧客との長期的な関係性を築くことが企業文化として定着していることが求められるのです。もちろん、財務的にも健全であることが大前提です。そして何よりもリーダーシップとコミットメントを大切にしています。

一方で日本の昨今の金融事情を見ると、利益重視であり、カジノ金融化しており、不透明性も高く、短期志向で、顧客との接点は効率化すべきものとなっています。真逆といっても過言ではありません。つまりGABVが世界の金融の潮流だとするならば、日本の金融は大きく後れを取っている、むしろ逆行していることになります。

金融は経済の基盤であり、金融の衰退は地域経済の衰退につながり、さらには地域社会そのものの崩壊につながっていきます。実際に日本の地方部では、地域経済の衰退・地域社会の崩壊がすでに始まってしまっています。この流れは止めなければいけません、少なくとも未来を担う子どもたちのために。子どもたちに残すものが崩壊した地域社会では申し訳なさすぎます。だからこそ今、GAVBから学び、JPBVにて実践することが必要なのです。


〇金融を起点とする未来のデザイン
金融はただお金を扱っているわけではありません。そのお金に込められたたくさんの想い、たくさんの願い、たくさんの知恵を紡いでいます。何より人と人の信頼を扱っているのです。そして信頼で人と人を結び、課題を解決し、新たな価値を創出することができる存在なのです。つまりはオープンイノベーションの中核的な存在に金融機関はなり得るのです。

金融は業法もあり、しがらみも多い分野です。しかしながらその変革は、大きく未来を変えることにつながります。まだ始まったばかりのチャレンジですが、分野を超えたつながりで世界を驚きと喜びと安心で満たす、新しい未来をデザインし実現していきたいと思います。

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