IFAに、女性人気、草食系人気、高まる。


「IFAを採用したいのだが、女性の方を望んでいる。それも、40代くらいで子育ての終わったような方なら最高なのだけど。証券や銀行出身者で、こんな人知りませんか?」
最近、ある正社員型IFAの社長から、こんな問い合わせを受けた。

理由を聞くと、所属しているIFAのなかで、女性のセールスパーソンが非常にお客さまの評判が高いようで、ご夫婦の面談などの場合、あらかじめ奥さまから女性のIFAを指名してくることも増えてきたそうだ。
セミナー等を聞いて会社の雰囲気は理解したうえでの面談ではあるものの、男性だと、強く商品をプッシュされないかという不安があることのほか、女性同士の方が家計のことや子供に関するお金の流れに関して、細かく知っているため、顧客としてもフランクに話がしやすいらしい。

そもそも、保険業界では、セールスレディと呼ばれる方が、生命保険販売の主力であった。そこに、80年代頃から、カタカナ生保と言われる外資系保険会社が男性営業マンを主軸とした、コンサルティングセールスが一世を風靡してきた。この流れはいまだ続いているが、一方で、『ほけんの窓口』などのような、いわゆる街の保険ショップでは、女性のプランナーも多いようだ。若い夫婦が、これから将来のことを考えながら、必要となる資金計画を立てていくのに、女性のプランナーは実体験を持ってアドバイスしてくれるらしい。

他業界に目を転じると、マンションのモデルルームにおいても、女性セールスが増えているように感じる。住まいの細かいことは奥さまの方が主として関わることになるため、キッチンなど水回り、細かい収納などに関して、女性目線でのアドバイスが好評のようだ。

もちろん、保険にせよ、マンションにせよ、男性か、女性か、という性別でセールスパーソンを区別する必要はないかもしれないが、『女性目線』を持つということは、非常に重要なポイントではないだろうか?

IFAの話に戻ると、前述のIFA社長に、もう一つ面白い話を聞いた。男性の採用においても、草食系の男性がいいらしい。顧客にとっては、証券営業というのは、男性が中心で、顧客の言うことを一切聞かずに話を続け、顧客が「はい」と言うまで帰らない。どうしても、こんなイメージが抜けないらしい。このスタイルが、証券営業のイメージを悪くしている。
提案型営業をしているので、ガッツあふれるプッシュ型営業マンタイプよりも、顧客が安心してじっくりと話せるようなタイプの方がいい。
IFAは、話すことより、聞くことの方が大事。
顧客のゴールをしっかりと確認して、それぞれの顧客にあわせたプランニングを行うためには、セールスパーソンが話すより、顧客に話してもらう必要がある。
このためには、プッシュ型より、プル型、肉食系より、草食系という訳だ。

社員型IFA法人では、結構同じことを話す経営者が多い。
この点が業務委託型のIFAとは異なるところだろうか?
一時の収益を獲得するのではなく、顧客との長い関係性のなかで、資産と信用を積み重ねるスタイル。その結果から、IFAとしての企業収益を獲得していく。
大切なのは、瞬発力より継続力。顧客の声に耳を傾けつづけるという、資産形成ビジネスのスタイル。

そういえば、生命保険セールスにおいても、この10年くらいで、好成績を収める人の雰囲気が変化している気もする。
一時期は、いかにもプランナー然とした、自分自身の意見をはっきりと主張するようなタイプが揃っていた。それが近年の顔ぶれを見てみると、もっと、フランクになんでも相談できるようなタイプのプランナーが増加している感もある。
保険とは何か?どうすれば良いのか?といった保険に関する先生タイプから、顧客のライフプランニングと要望に寄り添った提案を行い、アフターフォロー活動も丁寧に継続するなかで、紹介や追加契約をお預かりするようなセールススタイルが増加したことも要因かもしれない。

結局、業界を問わず、顧客は、他人から強い主張で商品を勧められることに拒否反応を示し、自分自身で、本当に必要なものを明確にしたい。そのために、じっくりと顧客の立場に立って相談に乗ってくれる人を求めているのかもしれない。

改めて、今後求められるIFAのキーワードは、きめ細やかな『女性目線』と『草食系』かもしれない。


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