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中古本問題を消極性デザインで解決?

買ってもらった本を手元にずっと置いておきたいと思ってもらうため、読む以外の使い道をデザインしておこうという内容です。

リユース市場をたらい回しにされる本

こんにちは。消極性研究会メンバーの西田です。消極性デザイン、Shyhackという考え方を提唱する本「消極性デザイン宣言」を出版しました。消極的なままでも無理なく生きていけるものごとのデザインを考える本です。

私たち消極性研究会メンバーは売れ行きやレビューをとても気にしています。どのぐらい気にしているかというと、Amazonの書籍ページに表示される売れ筋ランキングの情報を自動的に監視し、順位が上昇したら著者全員にメールを送信して知らせるプログラムを作成して使用し続けているほどです。「お、順位が上がったぞ」と思ってAmazonを見に行くと在庫が何冊か減っていることに気づいたりする気の休まらない日々です。

そのおかげでAmazonの売れ筋ランキングについて少し詳しくなってしまいました。たとえば、中古品が売れた場合にもランキングは上昇するらしいとかです。中古が売れても通知メールが届くんです。

中古の在庫数が減ったり増えたりするのを眺めているのは精神的によろしくないので本当にやめた方がいいです。中古で買った人はまた中古で売る人が多いので中古在庫は増えることはあっても減ることは期待できません。

手元にずっと置いておきたいと思えるもの以外は人々の間でぐるぐると回されていく時代になっているのだということを肌で感じることができたことも、本を出版してよかったことの一つです。

手元に置いておきたい本の代表「聖書」

読み終わったあとも手元にずっと置いておきたいと思える本とはどんな本でしょうか。ズバリ、読む以外に使い道のある本でしょう。たとえば、索引としての利用価値が高い、装丁が美しくインテリアとしての価値がある、などです。しかし、これらのパターンは残念ながら消極性デザイン宣言にはあてはまらなさそうです。

聖書のように強く心に響き、そばにあるだけで日常的な心の支えとなるだけでなく、仲間との共有体験となって絆を育む本。おこがましいですが、私たちの目指したところの一つです。

「消極性は個人的な努力によって乗り越えられるべき」という強く根付いた社会観念に立ち向かうことは一言でいえば異端です。頭で理解するだけでは不十分で、「消極性はデザインで解決すべき」と日常的に体に染み込ませる修練が必要です。一人で理解するだけではまた不十分で、周囲を巻き込んでいくことも必要です。

消極的な人たちにとって容易ではないことばかりです。

普段は何を言うにも根拠が求められる学術の世界にいる私たちが少し勇気と色気を出して「信じる者は救われる」という気持ちを込めてこの本を書いた理由の一つがここにあります。消極性デザインという考え方が本として手元にあることで、日常化すること、仲間を見つけることが消極的な人にも可能になるというわけです。またもやおこがましいですが、聖書のようです。

「消極性デザイン宣言」を手元に置いておいていただいている読者の皆さんにはおそらく、そんな私たちの言外のメッセージが伝わっているのだと思います。仲間でいてくれてありがとうございます。

「消極性デザイン宣言」を使った Shyhack の例

この本が手元にあると仲間を見つけることに利用できます。さりげなく置いておくだけで、控えめな配色でありながらも消極性…?デザイン…?宣言…!?という違和感のある言葉の組み合わせが信者候補を引き付けていくはずです。

この本を持っていれば「私は消極的です」とカミングアウトする勇気も必要なくなります。もしこの本を持っている人を見かけたらどう思いますか?消極的な人からすれば「もしかして仲間?少なくとも消極的な人のことを気にかけてくれているのかもしれない。」と親近感を感じそうです。

もちろん、消極的だとわかっていながら「もっと積極的になりなさい」と激励を投げかけてくる相手にはこの本を読ませましょう。


使い方を工夫すれば、敵陣に攻め込むときの切り込み隊長としての活躍も期待できそうです。神戸大学のとある学生スペースには「就職関連本コーナー」という実におぞましい本棚があります。社会から「就活予備校」と言わんばかりの期待をかけられる今日の大学を象徴する存在です。大型書店もびっくりの品揃えで、その棚の前に立って動悸息切れを起こしたとしても私は責任を持てません。

もちろん、「こんな本棚は大学にあるべきではない!」などと論戦を張る積極性を私は持ち合わせていません。そんなときは「ゆけっ!しょうきょくせいデザインせんげん!」と手持ちパーティ最強の本をくりだしてみます。私の代わりに静かに戦ってくれるこの勇姿は他のすべての本を脇役へと叩き落し、就活に疲れた学生の心をも癒してくれるでしょう(大げさ)。

消極性デザインについて書いた本そのものが消極性デザインのためのアイテムとなっているというわけです。「しまった!それに気付かずに売ってしまった!」という人もいるかもしれません。もっとわかりやすくそう本に書いておくべきだったと私も反省しています。「しまった!Kindle版がセールのときに買ったから紙版は持っていない!」という人もいるかもしれません。でも心配は無用です。幸か不幸か新品も中古も在庫はまだたっぷりと残っています。

消極性というと些細な問題だと感じる人もいると思いますが、その思い込みこそがまさしく私たちの打倒すべき目標の核心です。目標達成はみなさんの協力なくしてはとても成しえない困難な道のりの先にあります。地道に仲間を増やしていくしかありません。

「信じる者たちは本当に救われるのか」一緒に見届けませんか。

「消極性デザイン宣言」を使ったshyhackを思いついた方はぜひ #shyhack をつけてnoteやTwitterで実践報告してください。

ここまで読んでくださってありがとうございます。サポートいただけましたら意欲ある学生を支援するのに使わせていただきます。