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「読まなくていい本の読書案内」橘玲著

「知のパラダイム転換」
以前にリチャード・ドーキンスの名著「利己的な遺伝子」を読んでショックを受けた。自分は遺伝子を運ぶ乗り物に過ぎなかったのかと。でも世の中を理解する真理を見つけた気がした。それ以来進化論に関係する本を好んで読んでいる。橘玲(たちばなあきら)氏は進化論を背景にした様々な「合点がいく」本を出している私の好みの著者で、新刊を読むたびにひとりで意気投合している。

その著者のベースとなっている5つの「知」(複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義)を解説した本である。これらの新しい「知」は「ニューロンから意識(こころ)、個人から社会・経済へと至るすべての領域で巨大な『知のパラダイム転換』を引き起こしている」という。この「知のパラダイム転換」に乗り遅れた学問(題名の「読まなくていい本」)を学んでも意味がないと著者は体験をもとに言い切る。

世は理系ブームだが、それは今の人文系の学問があまり役には立たないと誰もが感じているからだろう。「古臭い理論を『アカデミズム』の名で押しつけてくるひとたちを相手にしているヒマはない」のだ。世の中をよくするために役に立つ知の最前線をこの一冊で解説してくれる。

「読まなくていい本」の読書案内 橘玲 ちくま文庫 780円税別

(この記事は以前に私が業界誌に投稿した推薦図書文です)

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