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お一人様の相続対策

  • 身寄りがいない

  • 配偶者しか身寄りがいない

  • 自分が認知症になったときに頼れる親族がいない

  • 自分の葬儀や納骨をしてるれる人がいない

こういった問題を抱えておられる方は、どのような終活をするとよいのでしょうか?
今回は時系列に沿って、対策をご紹介いたします。

身体も元気、判断能力も問題なし

これからご紹介する任意後見、遺言、死後事務委任を依頼できる専門家を探しましょう。

専門家を選ぶ基準

  • 人柄がいい。自分と合う。

  • 自分より少なくとも10歳以上は若い。

  • 近くに事務所や自宅がある。

他には、業務経験が豊富であることなども重要だと思うのですが、その専門家の経験値はわかりづらいと思います。
基準とは少し違いますが、信頼できる人に紹介してもらうというのも一つの手段ではないでしょうか?

見守りスタート

今はお元気でも、いつ体調が悪くなるかは誰にもわかりません。
そのため、概ね月に1回程度、お電話をしたり、訪問したりしてご様子を伺う「見守り」がスタートします。

身体が悪くなってきたが、判断能力は問題なし

身体が悪くなってきて、銀行に出向くことができないとき、どのように対応すればよいでしょうか?
銀行では、予め代理人用のキャッシュカードを発行する手続きが用意されていることもあります。
しかし、同居の親族でなければ代理人になれないなどの条件があり、頼れる親族がいらっしゃらない方にとっては、解決策にはなりません。
それではどのような制度があるのでしょうか?
実は「身体が悪くなってきたが、判断能力は問題なし」という状態に備えた制度はないのが現状です。
そのため、事前に口座がある銀行に問い合わせて、どのような書類を用意すべきかを個別に確認するしかありません。
こういった個別対応をするにあたっては、ご本人様と専門家とのコミュニケーションが円滑であることが重要になりますので、「自分と合う」「近くにいる」専門家が適任だと思います。
なお、一般的には、本人の実印が押印してあり、印鑑証明書も添付してある委任状を、代理人が持参する方法などが考えられます。

判断能力を欠く状態になった

判断能力喪失に対する備えとしては、任意後見制度があります。
任意後見制度とは、自分の判断能力に問題がないときに、将来の判断能力喪失に備えて、信頼できる親族や専門家と後見人になってもらうことを契約する制度です。
自分の判断能力が無くなり、契約していた方が後見人に就任すると、財産管理(銀行預金の引き出しや送金、不動産の管理や処分など)や身上監護(施設や病院との契約など)をする代理権が発生します。
その後は、ご本人様に代わり、後見人が必要な費用の支払いや各種の契約をしてくれるという制度です。
財産だけではなく、自分の住む施設や治療を受ける病院を決定する権限も任せることになりますので、やはり自分のことをよく理解してくれている専門家が好ましいと思います。

なお、手続きとしては、お元気なうちに、将来任意後見人になってもらう方と一緒に、任意後見契約書を公正証書で作る必要があります。
また、ご本人様が判断能力を欠く状態となったとき、任意後見人になる予定の方は、家庭裁判所に対し、「後見監督人」の選任を申し立てなければなりません。
後見監督人は、任意後見人が不正をしないかなどをチェックする役割を担っており、この後見監督人が選任された時点で、任意後見人は正式に就任となります。
費用面については、任意後見人に対する報酬だけではなく、監督人に対する報酬も必要になります。

お亡くなりになった後

任意後見契約は、ご本人様が死亡されると契約終了となります。
そのため、任意後見契約をするだけでは、葬儀や納骨などの死後の手続きまで担ってもらえるわけではありません。
葬儀・納骨だけではなく、家財道具の整理なども必要になりますが、こういった諸々の業務は、「死後事務委任契約」を締結することで対応することができます。
一般的には、任意後見契約をして、後見人になってもらうことを依頼した方に、死後事務も依頼することになるでしょう。

遺言執行

事前にご準備いただいた遺言書に従って、遺してくださった財産の名義変更、処分などを行います。
遺言は、自筆でも作成できますが、親族ではない公共団体や公益法人などに遺産を寄付をするときは、公正証書遺言にする方がよいと思います。
団体・法人の取扱いで、公正証書遺言に記載された寄付でなければ受け付けられないことがあるためです。
また、遺言執行者が遺産の名義変更、処分をするときも、公正証書の方がスムーズに進む傾向があります。

まとめ

終活は、気持ち的にもハードルが高く、手続きも面倒なので、ついつい後回しになってしまうと思います。
今回ご紹介した制度を使わなくても、行政や福祉が最低限のフォローをしてくれます。
しかし、何も準備をしていなければ、お元気なときのご意向通りにお住まいを手配したり、遺産を寄付したり、ご希望の葬儀・納骨をしてもらったりすることはできません。
この記事が、終活を始められるきっかけになれば幸いです。

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