生産技術の仕事内容とキャリア形成
今回は「生産技術の仕事内容とキャリア形成」というテーマで話をします。どういった仕事内容でどういったスキルが身に付くのか簡単に紹介します。これから生産技術エンジニアを目指す人の参考になればと思います。
1. 生産技術の仕事内容
仕事内容はざっくり以下の項目になります。各項目の説明は省略しますが、全体感としてはこのようになります。
<生産技術の基礎>
機械製図
CADのスキル
空圧機器や配管図の理解
電気配線図
制御機器の理解(リレーやPLCなど)
プログラム制御の基礎
タッチパネルとPLCの操作方法
<工程設計>
P-FMEA作成
コントロールプラン作成
製造帳票作成
設備投資試算(投資金額、労務費)
生産ラインのレイアウト準備
設備仕様書の作成
設備立ち合い、導入
工程能力とMSA
各工程のパラメータ評価
<現場改善>
生産性改善(サイクルタイム、不良率、チョコ停など)
設備増設(生産能力増強)
既存ラインへの新機種追加(設備の改造)
量産ラインのサポート(品質問題や設備問題の技術サポート)
設備維持・管理(スペアパーツの準備やメンテナンス体制構築)
配属先や組織の方針により仕事内容は様々
生産技術といっても担当する案件によって、仕事内容は様々です。
例えば、ドキュメントの準備も生産技術の仕事です。新規設備の導入も生産技術の仕事です。
現場の改善業務も生産技術の仕事です。所属する組織によっては「当初期待した仕事と違う」と思うかもしれません。
生産技術という仕事をする以上、生産現場での仕事がメインになります。
以前勤めていた会社では日本に現場がなく、現場があるのは海外工場だけでした。おかげで、よく海外工場へ出張していました。多いときは1年のうち6~8ヶ月ほど日本を留守にしていました。現場がない拠点で生産技術をすると、こういう働き方になります。
以前、社外の人から「現場がないのに何をするんですか?」という質問を受けたことがあります。1つは上述のように、現場に長期出張して改善活動や新ラインの立ち上げを行う仕事です。もう1つは、新規プロジェクトの準備です。1~2年後に導入予定の新規量産ラインの仕様検討などです。
やはり、 生産技術という仕事をするのであれば、現場があるところに勤めるべきです。現場がないところに所属したところで、技術は伸びませんし、働き方も構造的に無理があります。
2.生産技術をしていて身に付くスキル
つづいて生産技術をしていて身に付くスキルを紹介します。
私は10年以上生産技術をやっていました。ただ長くやればいいというわけではないので、スキルが身に付くかどうかは本人次第ですが、ざっと上げると以下のような項目です。
<メカ関係>
治工具設計、設備のメカ設計
機械製図(幾何公差、はめあい、金属材料、表面処理など)
機械加工(ボール盤や旋盤などのちょっとした汎用機での加工スキル)
<電気・ソフト関係>
電気設計、配線作業・デバッグ
PLC操作、ラダー設計、プログラムデバッグ
<ドキュメント関係>
P-FMEA
Control Plan
製造ドキュメント
<工程設計>
設備仕様準備
生産ラインレイアウト設計
ライン内物流、人員配置
製品構造と特性に関する深い理解
<量産ラインの改善>
生産性、不良率、サイクルタイム、自動化など
<その他>
設備付属機器に関する専門知識(カメラ、多軸ロボットなど)
IATF、ISO要求事項
プロジェクトリーダー
設備投資予算管理、設備立ち上げスケジュール管理
外国人の教育
日本人部下の教育
顧客監査の対応
本社役員訪問時の対応
海外駐在、量産機種の技術サポート
新規設備メーカーの開拓と設備のローカル化
会社の方針や事業の状況による部分はあるのですが、10年振り返って以上のような項目です。「その他」については付随して発生した案件になります。
実力を磨けば汎用性が高い生産技術の仕事内容
所属する会社で生産する製品や設備仕様に依存する部分については、扱う製品や設備が変わると大きく変わる内容になります。上述した項目を見ても、意外にも生産技術の仕事内容は汎用性があるように思えます。マスターしてしまえば、勤めている会社がつぶれても仕事探しには困らないでしょう。
ところが、現実をみると生産技術エンジニア全員には当てはまらないようです。当時勤めていた会社、取引先、海外拠点、転職先などで、それなりに大勢のエンジニアの仕事ぶりを見てきましたが、一線で活躍している人は全体の2~3割でした。エンジニア職に限らず、どこの業界でも事情は同じかと思いますが。
徐々に生産技術の仕事で実績を積み上げていくと、それに付随していろいろな案件が回ってきます。上述の「その他」に記載したような項目です。仕事の幅を増やして自分の市場価値を高めるためにも、いろいろなことに挑戦してみることを勧めます。
よかったらこちらのサイトも参照ください。
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