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完璧な母になる~あるうつ病患者の事例

カウンセリングをしていると、うつ病の方々と関わることは多いです。

うつ病の方々には「べき思考」の方が本当に多いなぁと感じます。

「こうあるべき」とか「~ねばならない」という思考が自分自身を強く縛り、そうならない状況に多大なストレスを抱えるのです。

そうして自分で自分を追い詰めていきます。

ほんと、ずるくとか、手を抜くとか、さぼるとか、適当にとか、ちゃらんぽらんにとかを、この方々ができればどんなにか楽だろうと思うことがあります。

また、援助希求力のない方も多いです。

援助希求力とは、その名の通り助けを求める力、悲鳴を上げる力のことであり、頼まれたことを断ることができない彼ら彼女らは、職場において仕事をどんどん抱え込んでしまいます。

「今、きついです」、「ちょっと手伝ってもらえまえんか?」、「できません」などといったことが言えず、こなせない仕事を抱え続け、誰にも相談することもできずやがてパンクします。

パンクした時には通常業務どころか簡易作業や通勤すらままならない状態になってしまい、やがて休職あるいは退職といった形になります。


援助希求力がないということでは、ある女性の方が印象に強く残っています。

その方は、家族や友人などから頼られる女性であり、まるで太陽のように明るい完璧なる妻、完璧なる母を演じ切っていました。

しかし、夜になり一人になると強烈な孤独感や死にたいという思いに囚われてしまうと言うのです。

そして完璧なる母である彼女は、そのことを身近な人には誰にも相談することができずに、というよりも身近な人に知られることはあってはならないことで、ひたすら自分の内に秘めていました。

そんな弱い自分を受け入れられないと言います。

そして私に相談する自分自身を恥じていました。

彼女は人として当然に生じる不安や心配、恐怖といった感情を、かくあるべき自己理想ゆえに断固として否定し消し去ろうとしていました。

こういった感情を起こしてはならないと考えていたのです。

いわば不可能を可能にしようとしていたのです。

これを森田療法の創始者である森田正馬は「思想の矛盾」と呼びました。

この「思想の矛盾」は、あがり症者にも特有のものです。

あがること、不安に思うこと、緊張することなどの感情を、かくあるべしという自己理想から断固として否定します。排除しようとします。

しかし、あがり症の望みは決して叶うことはありません。

自然に湧き上がる感情を消し去るということは、人間の摂理に反したことなのです。

感情は本来そのまま感じるものなのであり、その感情を受け止めない限りは、却ってその感情が継続したり、あるいは増幅してしまうのです。

あがり症の方の不安や緊張がその時だけのものではなく、持続的に続くのもこれが理由です。

感情を否定せず受け止める、そして辛くともしっかりと感じ切る。

そして、そんな弱い自分を受け入れる。

これは自分を許していく作業とも言え、長年の生活習慣病とも言えるあがり症の方にとっては、少しずつ取り組んでいくべきことです。

核心は、真実の自分自身にいかに向き合えるかどうかにこそあるのです。

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