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夏の終わり旅2024 その16

隼人駅で乗り換え。ここからはバスに乗るのだが、まだ時間がある。近くのカフェでノンビリ・・・と思っていたら、すでに閉業しており残念。仕方がなくスーパーのベンチでノンビリとバスを待つ。


やってきたバスは僕一人だけの乗車。走ることおよそ30分程、深い谷間にある妙見温泉に到着した。
素泊まりの宿、妙見温泉センターきらくにチェックイン。ここは、翌日が鹿児島空港からのフライトなので、その近くで良い温泉がないか?と探して見つけた温泉。泉質が良いことで知られているらしい。渋い見た目の温泉宿という感じで、日帰り入浴の地元客も出入りしていた。
受付の気のいいおっちゃんが館内を案内してくれる。なかなか広く、内湯と自慢の露天風呂が分かれている構造だ。
温泉に入れるのは朝八時まで。そのあとは一旦全てのお湯を抜いて、掃除をするのだそう。
かけ流しの温泉で毎日抜くというのは珍しいと思う。そこまでやらなくてもいいのでは?と常連さんから言われるらしいが、どうしても毎日やらないと気になってしまう性分らしい。湯質へのこだわりに、自信を感じる。

さっそくひと風呂といきたいところだが、ここで入るのは夜にするとして、暗くなる前に行ってみたいところがある。徒歩20分ぐらいのところにある野湯・和気の湯。
少し早めの夕ご飯も携えて、お風呂に入りつつ、ご飯を食べつつと寛いでみようという魂胆だ。


つり橋を渡り、クルマが1台通るのがやっとの細道を歩く。人家もすぐに乏しくなり、少し一人で歩くのが心細くなるほどだ。
そして少し開けると、和気の湯。誰も入る人はおらず、ただくぼみにこんこんとお湯が沸くだけ。横には川が流れているのもロケーションは最高だ。
早速服を脱ぎ、お湯に足をつける。ぬるま湯だが、温泉成分の濃さはその色と周りに発生している湯の華の塊でわかる。
底は砂地なので、もしかしたら増水時に土砂が入ったりもしたのかも。
野性味溢れる温泉にゆっくり浸かったり、川べりで惣菜を食べたりして、優雅な時間を過ごす。


ぬるめの温度が気持ちよく、いつまでも過ごしてしまいそうだったが、暗くなる前に宿を目指す。なにか野生動物が出そうだな…と思ったら、一件の民家の前に差し掛かった時、犬の吠え声と共に、イノシシが道を横切っていくのを見た。

宿に着くと、オーナーのおっちゃんがテレビを見ているところ。声を掛けられたので宿のことなど、少しお話する。ずっとこの稼業で生活してきたらしく、話し出せば止まらなく、この辺りのことなど色々と教えて貰う。

一旦部屋に戻って、今度は自慢の露天風呂を堪能させてもらう。
天気は晴れだし、あえて風呂場の電気を点灯せずに入浴。すると、明かりが殆ど無い中での星見風呂を堪能することが出来た。


起きたら7時半。慌てて露天風呂へ直行し、朝ぶろを楽しむ。本当に自然の中という雰囲気で、とても趣がある。
まだバスの時間までは暫くあるので、少しお散歩をすることに。
ちょっと気になっていたのが、宿から直ぐ近くの熊襲穴。多分、誰かにおススメされたのか、Googleマップにポイントが付けてあった。
駐車場から急な坂道を上ること5分ほど。巨大な岩屋に到着。
電気を点灯して洞窟の中に入ると、慌ててコウモリが飛び交う中を入っていく。
最初は屈まないと頭をぶつけてしまう中で段を降りる。程なく空間が広がり、巨大な岩に謎の絵が描かれている空間が広がる。古代の暮らしをイメージしたような絵なのだろうか?
どうも賛否両論(古くからのそのままの姿のままの方が良いのではという意見)あるようだが、個人的には雰囲気とマッチしており、なんなら古代にもなにかしら描いて洞窟の中での暮らしを楽しいものにしていたかもしれないと妄想する。


解説を読むと、ここは熊襲一族が住んでいたところ。
朝廷に年貢を献上しない(かなり暴利で、人々の暮らしを圧迫するほどだったらしい)熊襲一族に対して、朝廷は後にヤマトタケルと名乗る、オウスノミコトを、首長の川上タケルを暗殺するために派遣。
オウスノミコトは女性に扮して、この熊襲穴が完成したことを祝う宴に潜入し、川上タケルに一撃を加えることに成功。
息も絶え絶えの川上タケルはオウスノミコトを討とうとする部下を制して、
「お前は勇者だ、もっと相応しい名前を名乗るがいい。タケルの名を与えよう」
といい残して絶命した。
そののち、無事に大和の国に帰ったオウスノミコトはその後、ヤマトタケルと名乗り始めたのだという。

実は僕のなまえ(武留)は、親父によるとヤマトタケルから命名したと言われており、要するに僕のルーツにもなる場所だということが判明。
偶然とはいえ、引き寄せられてきたかのような感覚だ。


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