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【東海道新幹線の大改革・のぞみ12本ダイヤをフル活用へ? 前編】

だいぶ時間が経ってしまいましたが、今年、相次いで東海道新幹線のに関するプレスリリースが発表され、世間をザワつかせました。

8月8日 「新しい車内サービスの展開について」⇒要するに車内販売の廃止
9月13日 「最繁忙期ののぞみ号、全席指定化」

どうもこの2つのニュース、東海道新幹線の輸送力増強に一段と磨きをかけるものであるな…と感じました。
まさに、「のぞみ12本ダイヤ」をフルに最繁忙期に発揮させるための体制が、この施策で整うのかという
どういうことか?解説していきたいと思います。

①     車内販売の廃止
既にこだま号の車内販売は終了しており、これで東海道新幹線からは車内販売というものが消え去ったことになります。
シンカンセンスゴイカタイアイスなどの人気の商品もあり、必ずしも不人気ではなかった車内販売だと思います。
車内販売の縮小は今に始まったことではありません。東海道新幹線では、以前から短距離利用が主なターゲットであるこだま号での車内販売を停止していますし、在来線特急を見れば、JR東海に限らず殆どの特急列車で車内販売は廃止されてきています。

確かに、「必要なものは駅で買って乗る」が主流となったとはいえ、全体的に乗車率が高く、仮に平均50パーセントの乗車率だとしても、600人を超える乗客が利用しているのぞみ号。その車内での供食に対する需要が消えた…とまでは言えないハズです。
販売方法の工夫などで、乗客がある一定以上にいる列車であれば、まだまだ十分に採算ラインには乗せることが可能なビジネスだと思います。

コンビニ、駅の売店充実などの影響もあり、車内販売の売り上げが減少しているというものが、主な理由として挙げられていますが、今回ののぞみ号からの車内販売廃止は、また違った側面があると思われます。

それは輸送力増強に伴う、人材不足だと思います。

2018年から東海道新幹線のぞみ号の乗務体制が、それまで車掌(JR
社員)3名と、パーサー(JR東海パッセンジャーズ)2名が担当していたところ、車掌を2名に減少。
同時に、車掌が担当していた業務の一部を、パーサーも行えるようにしたとのことです。
それに、ワゴン販売に専従するパーサーが1名。
全部で5名という体制で運行していたということです。
しかし実態としては、繁忙期を中心にワゴン販売に専従するパーサーが不足し、そういった場合は4名でのぞみ号を運転するといったことも発生していた模様です。
その場合、ワゴン販売を専従で行うパーサーは1名。すると、東京~新大阪間で車内販売が2~3回しか回ってこないということがあるという状況だったようです。

恐らく最繁忙期のこととは思いますが、現状、およそ3割ののぞみ・ひかり号で、パーサーの数が足りておらず、車掌含めて4人での乗務という体制がとられているということです。

東海道新幹線のぞみ号は、最大で1時間に12本という高頻度で走ることが可能なダイヤが組まれています。
コロナによる利用者減少となり、この数年はフルにそのスペックを生かすことが出来ていませんでしたが、ようやくその状態も終わり、最繁忙期の需要はほぼ、コロナ前と同様又はそれを超える利用者が戻っています。

この状況では、「のぞみ12本ダイヤ」を全面的に展開しようにも、人手が足りないという状況は変わりません。

②     のぞみ号最繁忙期の全席指定化
お盆・正月・GWの三大繁忙期の特に混雑する時期について、全てののぞみ号を全席指定席として運転すると発表がありました。

2003年の品川駅開業と共に、東海道新幹線は、それまでは1時間に最大3本であったのぞみ号の大増発を実施。さらに、それまでは全席指定席であったのを、自由席を設定し、今のようにネット予約も発達していなかった時代、気軽に乗れるという存在ではなかったのぞみ号が一気に大衆化したダイヤ改正でした。
それまでの主役であったひかり号の役割を、完全にのぞみ号に移行させたわけです。

それ以降、のぞみ号も1~3号車が自由席となり、自由席であればひかり・こだまと同額の特急料金ということもあって、そう頻繁に使わない層には重宝されていたのではないかと思われます。

しかし、この自由席が仇となり、最繁忙期には乗降に時間が掛かるようになります。
始発駅では自由席を求めて出発時刻前から長い列に並ぶことになりますし、途中駅での乗降にも手間取ります。のぞみ号の途中駅停車時間は、通常1分~1分30秒程度となっており、立ち客が大勢自由席のデッキにいるような状態では、遅延が慢性的に発生してしまいます。

勿論、指定席誘導と言って、自由席券を持っている人でも、指定席のデッキに立ってください!という案内もしますが、自由席に立っていれば座れるかも…という心理が働き、どうしても自由席車両に立ち客が集中しがちです。

性能の良いN700A車両であれば、数分程度の遅れであれば回復運転も可能でしたが、のぞみ12本ダイヤとなるとそうはいきません。
2~3分間隔で走るのぞみ号。遅れが全体に波及し、特に夜間時間での遅れは在来線への接続も関係するので、新幹線だけに遅れの影響は留まらないでしょう。


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