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【乗務日報って?】


通常通り乗務が平穏無事に終われば、特にややこしいこともなく終わるのが、乗務員仕事のいいところでもありました。
しかし、なかなかそうはいかないのが乗務員勤務。1日を通して乗務していると、何かしらの小さなトラブルは付き物といえます。

そういった際にそのトラブル対応の内容を記さなければいけないのが乗務日報。事柄の詳細は勿論のこと、その際の旅客からの苦情の有無、車内巡回を行ったかどうか、その他諸々の事柄を詳しく記さなければなりません。

大まかな流れだとこんな感じです。

事象の発生

直ぐに無線で指令に報告(対応指示を受ける場合もアリ)

自区の当直への電話報告(基本的に直近の休憩等)

乗務日報の作成

自区当直と確認(出先の場合はFAX)場合により書き直しもあり

こういったことをするのには、何か小さい事象であっても、旅客からの苦情につながる可能性があり、その時に迅速な対応が出来るようにするため…というものがあります。
苦情が申告された時に、その事象がすでに乗務員から報告されていた場合、事実確認を行うフローを経由することなく、対応が可能…ということでしょう。

しかし、現実には苦情申告ともなれば、再びの事情聴取となるケースが多く、結局手間としては変わらないのでないか?というのが現場で働いていた僕からの見立て。
そして多くの手間は、単なる余分な仕事になっている可能性が高いと思います。
また、乗務日報だけで大量に紙を消費していることも気になるところです。
現在は変化しているかもしれませんが、平成も終わるという時期に、FAXを未だに使っているというのもなかなかに前時代的だったな…と今考えても思います。
まあ、職場の規模がデカく、使い手側(受ける上司など)に高齢化した人が多いというのも、昔から使い慣れたツールがいいということになっていたのかもしれません。

また、こういった報告書の作成によって、乗務員の休憩時間が削られてしまうということも見逃せません。
短い休憩などは報告書の作成で潰れてしまうこともあります。勿論超過勤務の申請は認められていますが、休憩時間は次の乗務に備えてなるべくしっかりと休憩したいもの。
快速・特急列車の長い停車駅間や、普通列車の退避待ちの時は列車内で頑張って書いていることもありました。
勿論、時間などはしっかり気を付けなければいけないので、集中して書きすぎないようには気をつけなければいけません。

もちろんこういった業務も仕事の一環と言ってしまえば話は早いのですが、もっと報告に関しては簡略化したほうがいいように思います。簡易な事象であれば、口頭の報告で充分だと思いますし、実際に他の鉄道会社では口頭で報告すればオッケーとしているところもある模様。

何より、書類作成により、さまざまな人のチェックが入った上で、本社へと送らなければいけないわけで、かなりの労力が掛かっているのは間違いありません。
特に異常時ともなれば、遅延や列車抑止に伴う車内巡回の詳細も報告が求められていました。そのたびに各列車ごとに報告書が作成され、上司に提出されていくわけです。
因みにですが、特に旅客申告もなかったし、まあええんちゃう??と、報告書の提出をしなかった場合、後日上司より「あの時の○○列車の報告書出てないぞ!」とお叱りを受けることも。ちゃんとチェックしているのです。

どのような案内をしたのかなどを把握したいのでしょうが、そういった異常時の対応は、マニュアルでしっかり定められており、こちらも基本的にはその対応スキームに沿って案内を行っているわけです。
これも特に苦情などがなければ、報告まで必要ないのではないかと思いますし、根本的に乗務員の対応を信用していないのか?とさえ思います。

実はこういった報告書の作成、駅勤務の際はそんなに沢山はなかったように思います。ある意味、乗務員の仕事は個人の判断に任せられるところもあるため、会社としては縛りをキツくして、細かいことでも報告するように…というのを徹底したいのかと思います。

勿論、報告の重要性というのは鉄道員としては必要なところではありますが、毎度毎度定型文のように「乗車人員約〇〇〇名 巡回区間〇〇~○○(後ろから何両)旅客から苦情等申告はなし」
と最後に付け加えるたびに、もう少し簡略な報告でもいいのではないかと思うわけです。

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