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春の瞳(雑記)

 春になると、時々見かける人がいる。
 ここで言っているのは特定の個人のことではなく、ある特徴を持った人たちのことだ。
 瞳の色が淡いピンク色に染まった人。具体的にいうと、虹彩の部分がそうなっているのだ。
 大抵一人で行動している。その色の瞳を持った人が複数でいるところは一度も出くわしたことがない。
 彼らは老若男女、様々な姿で見かける。
 そういう瞳をした人種がいるのだろうか、と、調べてみたけれど、よく分からない。少なくともそういう情報はなく、私の中では未確認生物に似た括りになっている。まあ、私自身がその姿を見ているので、実際のところ未確認という訳ではないのだけれど。
 なんとなく他の人達と違うのだ。気配というか、雰囲気というか、そういったものが。近くに彼らがいると″分かる″のだ。それくらい、日常の中に紛れ込んていると、違和感がある。
 個人的には、春になると現れるため、春の化身か何かなのではないかと思っている。
 次に見かけたら話しかけてみたいとも思うけれど、毎回いつの間にかどこかへ消えてしまうので、きっとこれからも話せないだろう。


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