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5G線上のアリサ【第3章#1話】

#1話:清水愛利沙の過去話3(かこばな)



第2章のあらすじ


突然、100万人にフォローをされた清水愛利沙。

理由が明らかになった。
1000万人のフォロワーを持つ令和の予言者アイムソーリーに唯一フォローをされたからであった。

まとめサイトでフォロワーに氏名住所を特定されたアリサ。

見世物状態となりながらも自分の過去と向き合い、乗り越えられなかった昔の記憶をフォロワーと共にまとめ始める。

誹謗中傷の嵐の中、ヤンデレラへと堕とされたアリサは令和の予言者アイムソーリーの正体を突き止めると国民に知らせる。

本音を打ち明けた末、アリサアカウントは大炎上へと発展してゆくのであった。


【視聴時間=03:03】


「泥棒……」

「教師や大人に刃向かうーーー」

「―――反社会的人格……」

「学校のレールからドロップアウトをした女」
池田/井口/平野/加護

清水愛利沙のネット上の評価は概ね正しかった。

<犯罪者なのか?>疑問が溢れ、コメント欄は沸き立ったが、その日のトレンド1位の彼女本人は過去と向き合いながら、自分だけしか知らない事実を次から次へと書き込んだ。

「引きこもり生活を送り、ゲーム三昧の日々。特にハマったのがモンスターハンター。ここからアリサのHNハンドルネームがスタートしたのよ、はい送信」
清水

中学時代にポケベルが流行り、SEGAのドリームキャストで遊び、とあるゲームで意気投合をした“ぶるー”と遠距離恋愛になる。

ネットゲームの仲間と別れノートパソコンを買ってチャットで、夜中は朝が来るまで語り明かしたことも打ち明けた。

自分でつぶやき進んで書き込み過去の痛みをほじくり返し、ぶるーは“化学物質過敏症”という病気まで話しーーー

「そうよ、私はニートだったの……本名も顔も知らない彼氏だったけど、本気だった……初めての恋愛だった……お互い家から一歩も出られないから、傷を慰めあった……大好きだった! なんども何度も赤色と青色のチャットログを交わして“大好き”だって伝え合った! 最高に幸せだった!」

なんて事のない会話ばかり。

だけどそれが最高に愛しい。

淡くて拙い遠距離恋愛。

だけど全力で恋した証。

ぶるーのために決断をした。

彼のいる町まで行こう。

直接会えなくてもいい。

側に。

彼のために人生を尽くし、二人で一緒に一から二人三脚ですべてをやり直そうと、願い19歳じゅうく、長野県飯田市でアパートを借りた。

それは自分の不甲斐なさを知る最初で最後の恋だった。


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