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5G線上のアリサ【第2章#8話】

#8話:開戦、まとめサイト



【視聴時間=03:30】


「おい、これどういうことや!」

「わしらのことはいいとして、清水ちゃんのことがメチャクチャ書かれとるやん」

「しかも……全部当たっているわよ……どういうこと?」

「どうやら私たちが情報を提供し過ぎたようですね」
井口/池田/平野/加護

ロートルズたちのアイデアにより池田町は知れ渡ったが、同時にアリサの正体も分かり“清水愛利沙”は特定をされ、彼女を知っている不特定多数の書き込みによる集合知により、ホームページのまとめサイトやツリッター上で情報が出され、アイムソーリーにフォローをされたアリサの素性が明かされた。

「どうします? ネット警察に通報をしても―――」

「―――ここまで拡散をされたらもう止めようがないわ」

「それじゃぁ、アカウントを消去して―――」

「―――いいえ、実害はないのだもの。この際、5G線上ネットを通してあたしは自分の過去ととことん向き合ってやろうじゃないの」

「清水ちゃん……」

「……ごめんな、先生。俺らが口を滑ったーーー」

「―――何でもするから!」

ロートルズはかばい始める。

愛利沙個人は特定される。

一日足らずで令和の予言者アイムソーリーと関連付けて、理解欲求を欲しがるネット民の餌食にされていく。

隣のパソコン教室生徒もスマホを片手にカメラ写真を。

加護は落ち着きシャッターを下ろし身元が知られたことを悟り、愛利沙に対しプライバシーを守るように要求するがーーー

愛利沙は決意の表情をした。

真顔でサイトの確認をした。

VR立体映像となって映る自分に対するまとめと向かう。

小学生から中学生の経験すべてを克服しだす。

心配しながら彼女をよく知る四人は頷き“ほたる祭り”の、“盗み事件”にフォーカスをされ過去がほじくり返されながら、虚実を含むまとめサイトの管理者たちと勝負の開始。

アクセス稼ぎの運営側と真実を知る被害者側の、対立構造そのものを煽る観戦者も参戦をする。

愛利沙のすべてを解明するためブログにたかり寄り始める。

「……好き勝手に書き込みよって!」

「……舐めとんのか、俺もツリッターで反撃したるわ―――」

「―――待って下さい、池田さん!」

「―――ダメよ、井口さん」

感情任せに書き込みをすれば相手の思う壺になると、二人の情報強者は二人の老人の暴走を止めた。

「……でもさ、私だってこんなこと書かれたらショックでしばらく立ち直れないわよ……愛利沙ちゃん、こんなことになるなんて、本当にごめんなさい。おばさん悔しくて、悔しくて仕方がない……」
平野

それは全員同じだった。

けれどもすべてが事実であった。

同級生や目立ちたがり屋が書き込みをして拡散させた。

その蓄積がまとめサイトを瞬く合間に形作った。

清水愛利沙を解剖しながら過去を暴く時が来た。

「……現代のシンデレラは12時過ぎるまで時間が持たないの?」

「残念ながら、ネット上の集合知もバカにはできません」
清水/加護

加護も愛利沙の心配をする。

アイムソーリーに狂わされている人生から逃げずに画面を見つめる愛利沙を横目で見つつ「だってあたし、確かめたい」とつぶやく気持ちの尊重もする。

シンデレラであるツンデレラの愛利沙は仲間に守られながら、しばらく蓄積していくブログを見つめる戦に入りだした。

それは自分が逃げた過去との全面戦争となった。


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『”The Threat of Retaliation”perfomed by Tea Time,used under license from Shutterstock』

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