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Night Tempoが教えてくれる素晴らしき昭和

2022年7月に新潟は苗場にて行われたフジロック。そこにオンステージしていてまんまと僕の心を射抜いていった韓国人アーティストが、、、

“Night Tempo”(ナイトテンポ)

主に80年代日本のシティポップを現代風にリミックスしてDJするアーティスト。現在アメリカのクラブシーンでジャパニーズシティポップが流行っている。なんとも不思議な光景だが山下達郎や杏里、中山美穂や工藤静香などといった音楽で海外の人々が踊っている。そんなムーブメントの先駆者が紛れもない彼。

LAでDJするナイトテンポ

今年のフジロックでも日本人のDNAに刻み込まれている音楽たちでオーディエンスの身体を踊らせ、今年最もフジロッカーのエネルギーを吸い取っていったのは彼と言っても過言では無い。

フジロックでのNight Tempo

そんな彼のステージが脳内から離れずフジロックが終わった後、僕は80年代の音楽を深掘りしている。

中森明菜、竹内まりや、杏里、オメガドライブ、、、など。名前はもちろん音楽も知っているものばかり。だが思えば、それらを聴こうと思って自ら再生ボタンを押したことはなかったような。1992年生まれの僕が「中森明菜ちゃん聴こっかな」ってそりゃならない。

性格的に凝り性なもんで。一度深掘りするとそこそこ掘るところまで掘る。そんな深掘りしていく中で一際「かっこいい...」と思った曲が。

淋しい熱帯魚 / Wink

1989年にリリースしたWink5枚目のシングル。「Heart on wave〜」の歌詞と振り付けは誰しも1回は見たことがあるのでは。僕ももちろん知ってはいた。しかし自らちゃんと聴こうと思って聴いたことはなかったかな。

大魔神ポーズと呼ばれた振り付け

何と言えばいいか上手く説明できないが、とにかくカッコいい。好きだから好きみたいな。約30年前の曲だが今聴くと何周もまわって新しさを感じる。蛍光色の手袋が際立つPVもカッコいい。この曲を歌う時、2人は一切笑わないがそれも良い。とにかくカッコいい。語彙力が、、、

そしてこの“淋しい熱帯魚”をNight Tempoが「昭和グルーヴMIX」と称しリミックスしている。

この曲が彼のステージで流れると盛り上がりは最高潮になる。オーディエンスはみんな手を上げ身体をリズムに乗せる。時を越えて30年前の曲で踊る感覚は僕にとっては懐かしいとかではなく新しい。まさに「こんなの初めて...」。

当時を生きていない僕らからすると、こうやって昔のカルチャーを知ることができるのはとてもロマンを感じる。今はYouTubeなどで簡単に昔の動画を観ることもできるし、掘り下げようと思えばいくらでも掘り下げれる。いい時代だ。

そして思うこと、、、
新しいモノを生む際、自分の経験からのオマージュで生み出すはず。そうすると自ずと生まれたそれにはどこか懐かしさが宿る。それに触れる人によっては「これってあれっぽいよね」って言いたくなるのはそれだ。逆に昔のモノに触れるとそれに新しさを感じる。そこに自らの経験が無いから。つまり、

「新しいものには懐かしさを感じ。古いものには新しさを感じる。」

これらは音楽だけじゃなく全てのことに言える気がする。僕の仕事である美容師もそう。ファッションもそう。色んなクリエイティブに共通して宿っているロマンだろう。

そんな事を思わせてくれたNight Tempoには人生の醍醐味を1つ増やして貰った気がする。ありがとう。

新しいことに挑戦したい。人とは違うことをしたい。そんな欲求を満たしてくれる何かは案外過去にあったりするのかもしれない。

●ナイトテンポの【インスタグラム】

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