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【レポート】『こころの表現授業』第3回 医療デザイン大学 LIVE

心よ、軽くなれ。

2020年の世相の暗さは異常である。

日々飛び込んでくるニュースはうんざりするものばかりだし、聖火台が映えるはずであった青空は長引いた梅雨の低く垂れ込めた雲に覆われてしまった。
このモヤモヤ感の一番の原因は言うまでもない。COVID-19、通称コロナだ。

こいつのために世界は混乱し、希望を見失い、絶望に陥った。子どもたちの「僕らの未来はどうなるの?」という問いに答えを返すには、大人たちはあまりにも無力である。
けれど我々は、どんな感情も肯定することから始めよう。そして見えない未来を想像し、お互いに支え合おう。
そんなメッセージに満ちていたのが、第3回医療デザイン大学LIVE『こころの表現授業』だ。

授業は4限まで用意されていた。

●1時間目 折れない心を育てるいのちの授業
『コロナって こわいの?』 浜田努先生(w/小澤竹俊先生)

1限目は、遠く鹿児島県からオンライン授業を届けてくれた浜田努氏の「コロナってこわいの?」だ。子どもの疑問にまっすぐ答える、どストライクの授業だ。
やさしく丁寧な口調で、浜田先生は語りかける。「コロナに負けないために私たちにできることの3番目は、“いじめをしない”です」と。

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鹿児島よりオンラインで登壇した浜田努医師

人は、自分が苦しいときに他人を傷つけてしまう。でも、支えがあれば穏やかな心でいられる。だから話をしよう、話を聞こう。
浜田先生のそんなメッセージはとてもロジカルで説得力に満ちており、授業を聞くこと自体でコロナに立ち向かう勇気がもらえる。

オンラインセミナーならではの音声が途切れるアクシデントもあったが、そんなときはチャットで「先生、がんばれー」というメッセージが多数寄せられ、図らずも“支え合うことから生まれる一体感”が例示されたのだった。

●2時間目 自分も相手も大切にする 関わりに必要なこと
『ひとりじゃないよ』副島賢和先生(w/小澤竹俊先生)

2時限目は、院内学級を描いたドラマ『赤鼻のセンセイ』のモデルとなった副島賢和氏の「ひとりじゃないよ」。院内学級で出会ったたくさんの子どもたちのエピソードを交えながら、副島先生は「身近な人、隣の人の感情を受けとめて欲しい」とメッセージする。

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院内学級教師の『あかはなそえじ』こと副島賢和先生

例えば「あきらめないと生きていけないんだよ」とつぶやいた子どもを前にして副島氏が言葉を失ってしまったエピソードなど、どれも一編の小説のようで、胸を打つ。チャットには「涙が出る」「子どもたちも真剣に聞きました」と多くの感想が寄せられた。
「どんな感情も大切なんだ。自分の感情を打ち明けられる仲間をつくってほしい」と、副島先生は熱いメッセージで授業を締めくくった。

●3時間目 声と滑舌がよくなる!
『魔法の声トレ』秋竹朋子先生

涙と笑いの2時限目の後は、にぎやかな声のトレーニングの3時限目。ボイストレーナーとして活躍中の秋竹朋子氏による「魔法の声トレ」だ。

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『魔法の声トレ』秋竹朋子先生

「声を変えるだけで仕事もうまくいきます。これからの30分で、皆さんの声を魅力的に変えてみせましょう」と秋竹先生。誰でもできる腹式呼吸のやり方や、口角を上げて話すことで印象を変えるテクニックなど、4万人の声を聞いてアドバイスを送ってきた秋竹先生ならではのノウハウが惜しげもなく披露されて、これはまさに“使えるセミナー”。

授業の最後、参加者が発声してみたところ、本当に声の印象ががらりと変わっていたのにはびっくりだ。まさにアメージング。この授業だけでも参加費2,000円は安いと断言しよう。

●4時間目 カラダが感じてこころが動く!
『パント!の授業』カンジヤマ・マイム先生

そして4限目は、お待ちかねのパントマイム。カンジヤ・マイム氏の「パント!の授業」だ。
定番の“壁抜け”のパフォーマンスを披露しながらカンジヤマ先生は「想像すれば、なんだって楽しめるんだよ」と想像力の大切さを教えてくれる。

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『パント!の授業』カンジヤマ・マイム 藤倉健雄先生

圧巻は、俳句マイム。親交のあった故・永六輔氏の俳句をパントマイムで演じたものだ。自らの歌を交えながら親子の思い出を演じたパフォーマンスは実に感動的で、見ていた秋竹先生も号泣したほど。このパフォーマンスを見るだけでも参加費は、などと口にするのはもはや無粋。

最後にカンジヤマ先生は「私は心の歯磨きで、毎日、自分のエゴを落としています」とメッセージ。本当にいい言葉をいただいた。

●帰りの会 
気持ちを書いて、先生たちと一緒にモヤモヤの正体を発見しよう!

「帰りの会」では、質疑応答を交えつつ司会進行の小澤竹俊氏の「誰かがいるから頑張れる。誰かが苦しんでいたら手を差し伸べよう」とのメッセージで終了。
なんともいえない多幸感が得られた「こころの表現授業」だったが、聞き終えた今、間違いなく心が軽くなった気がしている。

外に出たら、雲は去り、きれいな青空が広がっていた。
明日もきっと晴れだ。

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演者、主催者そして参加者の男の子を交えた会後の記念撮影

当日のグラレコ(グラフィックレコーディング)

協力・関連リンク
Writer : Masahiko Tango
Graphic Recording : Mie Namimura (MI-ZA

一般社団法人 日本医療デザインセンター
一般社団法人 エンドオブライフ・ケア協会
NPO法人 Your School あかはなそえじ『かぜのたより』
発達障害ことばが遅い子 滑舌が悪い子会話に導くことばの療育 Blog
秋竹朋子 Blog
ビジヴォ 公式サイト
カンジヤマ・マイム


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