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約物の使い方──鉤括弧「「」」と二重鉤括弧「『』」

鉤括弧「「」」(Unicode:U+300C、U+300D)と二重鉤括弧「『』」(U+300E、U+300F)の主な用法をまとめました。


会話文、発言

発言部分の前後を鉤括弧「「」」で囲みます。文末に句点「。」は付けません。

「初めまして。山田と申します」
「佐藤です。よろしくお願いいたします」

「それでは失礼いたします」と彼女は言った。

鉤括弧の中に更に鉤括弧が登場するような箇所では、二重鉤括弧「『』」を用います。

「『僕に任せてください』と彼は言ったけど、本当に大丈夫なのかしら」と彼女は少し不安げだった。

引用

引用する文章を鉤括弧で囲みます。会話文と同じく、原文に句点があっても、引用部の末尾に句点は付けません。

「健全な身体には健全な魂が是非とも宿ってもらいたいものだ」とユウェナリスは言った。

引用する文章に既に鉤括弧が使われている箇所は、二重鉤括弧に置き換えます。

【原文】

それは単なる個人の問題ではなく、一種の「システム」の問題である。

【引用文】

この事件に対して、著者は「それは単なる個人の問題ではなく、一種の『システム』の問題である」と述べた。

強調

鉤括弧を用います。単に強調する場合もあれば、字句を額面通りでない意味合いで示す場合もあります。

その選挙は「民主的に」行われた。

著作物名

書籍、絵画、映画、テレビ番組などの各種著作物の名前は、二重鉤括弧で囲むのが基本です。雑誌や新聞の題号、音楽アルバムのタイトルなども二重鉤括弧で囲みます。

芥川龍之介『羅生門』
エドバルド・ムンク『叫び』
是枝裕和監督『万引き家族』
NHK『日曜討論』
『日本経済新聞』
『文藝春秋』
『美空ひばりトリビュート』

雑誌や新聞の個別記事、オムニバス映画や音楽アルバムの中の個別作品など、作品群を構成する個々の著作物名には通常の鉤括弧を用います。

今村夏子「むらさきのスカートの女」(『文藝春秋』2019年9月号)
「雪山」(『世にも奇妙な物語──映画の特別編』)
「川の流れのように」(『美空ひばりトリビュート』)

商標

一般名詞との区別や商標であることの明示のため、商標やサービス名などには鉤括弧を用います。

「note」
「YouTube」
「Windows」
「iPhone」

乗り物の名称

列車、船舶、航空機などの名称には鉤括弧を用います。「号」は括弧の外に置きます。

「のぞみ」6号東京行き
「タイタニック」号
「飛鳥II」
「よど」号

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