来年の_えと_は_

来年の「えと」は何?

さて、クリスマスも終わり、仕事納めも近づいてきて、そろそろ年越しムードに移りつつ、「来年はいよいよオリンピックイヤーだ」といって浮かれている日本人の皆さん、来年の「えと」は何か、わかりますか。

「子年(ねどし、ねずみどし)」と答えたあなた、残念でした。無論、丑でも寅でもありません。

「えと」は一般に「干支」の読みとされていますが、これは正しい訓読みとはいえません。「干支(かんし)」は読んで字のごとく、十干十二支(じっかんじゅうにし)のことを指します。

十二支(じゅうにし)はご存じの通り、

子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥

のことです。訓読みではそれぞれ

ね、うし、とら、う、たつ、み、うま、ひつじ、さる、とり、いぬ、い

と読みます。

十干(じっかん)とは、

甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸

のこと。音読みでそれぞれ、

コウ、オツ、ヘイ、テイ、ボ、キ、コウ、シン、ジン、キ

と読みますが、訓読みではそれぞれ、

きのえ、きのと、ひのえ、ひのと、つちのえ、つちのと、かのえ、かのと、みずのえ、みずのと

というように、五行(き、ひ、つち、か、みず)に陰陽(え、と)の概念を組み合わせた呼称となっています。つまり「えと」とは、「-え」と「-と」とが交互に来ることに由来するもので、実は十二支ではなく十干を指す言葉なのです。

十干と十二支とを組み合わせたものが十干十二支、すなわち干支(かんし)です。十干の「甲」と十二支の「子」から始まって、

甲子(きのえ・ね)、乙丑(きのと・うし)、丙寅(ひのえ・とら)、丁卯(ひのと・う)……

と続いていき、10と12の最小公倍数である60番目の癸亥(みずのと・い)まで行って、最初の甲子に戻ります。これが還暦です。因みに、高校野球でお馴染みの阪神甲子園球場は、完成した1924年がちょうど干支の甲子にあたることから名付けられたものです。

2020年の干支(かんし)は37番目の庚子(かのえ・ね)です。というわけで、来年の「えと」すなわち十干は庚(かのえ)、十二支が子(ね)です。

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