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感じる? 感ずる?

これは、名詞としての漢語にサ行変格活用の動詞「する」が結びついたものですから、「感ずる」が規範的な形です。文語では「感ず」となります。

口語に「感じる」の形が生じた要因として、未然形に接続する否定の助動詞の影響が考えられます。否定の助動詞に「ず」が用いられる文語では、未然形は「感ぜ(-ず)」となります。活用は以下の通りです。

感ぜ(未然形)・感じ(連用形)・感ず(終止形)・感ずる(連体形)・感ずれ(已然形)・感ぜよ(命令形)

これが、否定の助動詞として「ず」よりも「ない」が多用される口語となると、未然形は「感じ(-ない)」となり、

感じ(未然形)・感じ(連用形)・感じる(終止形)・感じる(連体形)・感じれ(仮定形)・感-じよ/じろ(命令形)

という上一段活用の用法が新たに出現することとなったのです。

同じくサ行変格活用を持つ和語の「先んず(る)」、「軽(かろ)んず(る)」にも、同様の傾向が見られます(「先んじる」、「軽んじる」)。

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