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ヘボン式ローマ字

日本語のローマ字表記にはいくつかの方式がありますが、代表的なものの一つがヘボン式と呼ばれるものです。江戸時代に日本を訪れたアメリカ人の宣教師ジェームズ・カーティス・ヘボンが考案したため、この名があります。

ヘボン式の特徴は、何といっても表音の正確性です。現代日本語の音韻に最も近く、規則的に並べてラテン語のように読めばかなり正確に発音を再現できるので、特に非日本語話者への伝達に適しています。鉄道の標識や日本国旅券の氏名表記にも採用されており、国際社会ではデファクト・スタンダードとなっています。

一方で、仮名文字における異綴同音、例えば「じ」と「ぢ」の区別がないため、文字表記を別の文字による表記に移し替える翻字には不向きです。

表記法

清音

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濁音・半濁音

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拗音

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基本的には上の表に従って一音ずつ並べればいいのですが、ヘボン式には表音主義という特徴があるので、一旦聞こえたままの音に置き換えてから書く方がいいでしょう。その点を踏まえて、いくつか注意点を列挙します。

長音
長音となる母音にはマクロン(¯)またはサーカムフレックス(ˆ)を付けることとされていますが、省略することも多いです。
日向(ひゅうが)[ヒューガ] Hyūga
・東京(とうきょう)[トーキョー] Tōkyō
・大阪(おおさか)[オーサカ] Ōsaka

以下の場合は長母音ではないので、一音ずつ書きます。
・新潟(にいがた)[ニイガタ] Niigata
・広尾(ひろお)[ヒロオ] Hiroo

促音
子音を重ねます。
・六本木(ろっぽんぎ)[ロッポンギ] Roppongi

ch-の前の促音では、舌先が上顎に付くので、tで表記します。
・八丁堀(はっちょうぼり)[ハッチョーボリ] Hatchōbori

撥音
nで表記します。
・銀座(ぎんざ)[ギンザ] Ginza

但し、b、p、mの前の撥音では、上下の唇が閉じる動きをするので、mで表記します。
・難波(なんば)[ナンバ] Namba
・新橋(しんばし)[シンバシ] Shimbashi

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