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言葉の覚え書き

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#漢字の読み

『言葉の覚え書き』目次

【第1部 表記】組版右横書き 文体口語体と文語体 常体と敬体 能動と受動 文のねじれ 「べき止め」 「さ入れ表現」 可能の表現 助動詞「れる」「られる」 可能動詞 「ら抜き言葉」 用言の活用と音挿入 改行・段落改行と段落 文字種日本語の文字体系 全角と半角の使い分け アルファベット、アブギダ、アブジャド ギリシャ文字 Unicodeについて ヘボン式ローマ字 漢字常用漢字 同音の漢字による書きかえ 字体・字形 仮名現代仮名遣い 「じ」「ず」と「ぢ」「づ」 漢語に続

読めますか?──「人間青山」

ジンカンセイザン。 幕末の僧、月性(1817―1858年)の詩「将東遊題壁」にある「人間、到る処青山あり」から。 「人間」は人の世すなわち世間、「青山」は墳墓の地。 骨を埋める場所などどこにでも見つけられるのだから、故郷を離れて広く活動すべきである、という意味です。

読めますか?──「行雲流水」

コウウンリュウスイ。 漂う雲と流れる水のように、自然の成り行きに任せる様子を意味します。

読めますか?──「庫裏」

コリではなく、クリ。クは「庫」の呉音。 寺院の台所。転じて、住職やその家族の居所を指します。

「いく」? 「ゆく」?

通常「行く」の訓読みは「いく」ですよね。しかし一方で、電車の目的地などでは「……ゆき」と読まれます。「いく」と「ゆく」では何か違いがあるのでしょうか。 『日本国語大辞典』『広辞苑』『大辞林』の記述によると、いずれも、「いく」「ゆく」は上代から併存していたものの、漢文訓読を中心に「ゆく」の使用例が多かった点は共通しています。「ゆく」の方が比較的文章語に近い響きがあるようです。言われてみれば、現在でも「立ち行く」「移り行く」などの慣用表現は、「ゆく」と読むことが多いですね。

「魚貝類」?

シーフードのことを言うなら「魚介類」。 「介」は「甲殻」「甲殻で身を守る虫や貝」(『全訳漢辞海』第四版)を意味します。 ギョカイルイに「魚貝類」の字を当てるのは、単に「介」の字音カイを「貝」の字訓「かい」と取り違えたことによる誤記と思われます。それに、「魚貝」だと魚と貝のみを表し、エビやカニは入らないことになってしまいます。

読めますか?──「龍頭」

リュウズ。元は、釣り鐘の上部にある輪の部分(鈕)のこと。龍の装飾があるためこう呼ばれます。 現在では、腕時計の時刻合わせのときに回すつまみを指します。 中国語では、水道の蛇口のことを「水龍頭」と言います。

読めますか?──「貴翰拝誦」

キカンハイショウ。 「貴」「拝」は敬語。「翰」は「書翰(書簡)」の「翰」で、手紙のこと。「誦」は「暗誦(暗唱)」の「誦」で、読むの意。全体で「あなたのお手紙を読みました」という意味になります。返信文の冒頭で使われる表現です。 見慣れない表現かもしれませんが、一つずつ見ていけば意味を読み取れます。但し、同音の漢字による書きかえの表記しか知らないと、読み解くのは難しいかもしれません。

読めますか?──「払底」

フッテイ。 底を払うという字義どおり、物がすっかりなくなることを意味します。 通信販売などで、「在庫払底」という表示を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

読めますか?──「端倪」

タンゲイ。 「端」はいとぐち、「倪」は田の境の意。物事の始めと終わりのこと。 また、動詞としては、見通す、予測するという意味で用います。「端倪すべからず」は、容易に計り知ることができないことを表す慣用句です。

読めますか?──「恬淡」

テンタン。 無欲で物事に執着しないことです。

読めますか?──「病葉」

「わくらば」と読みます。 病気に冒された葉、夏に色づいて枯れた葉のことです。

読めますか?──「傾城」

ケイジョウではありません。正解はケイセイ。セイは「城」の漢音。 意味は、君主が国事を疎かにしてしまうほどの絶世の美女。ここでの「城」は国を意味します。 同じ意味の言葉に「傾国」がありますね。

読めますか?──「彼我」

ヒガ。相手と自分。 「彼」は遠称として事物や事柄などを示す代名詞です。 「彼岸」をヒガンと読みますが、これも向こう岸という意味ですね。