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言葉の覚え書き

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#約物

『言葉の覚え書き』目次

【第1部 表記】組版右横書き 文体口語体と文語体 常体と敬体 能動と受動 文のねじれ 「べき止め」 「さ入れ表現」 可能の表現 助動詞「れる」「られる」 可能動詞 「ら抜き言葉」 用言の活用と音挿入 改行・段落改行と段落 文字種日本語の文字体系 全角と半角の使い分け アルファベット、アブギダ、アブジャド ギリシャ文字 Unicodeについて ヘボン式ローマ字 漢字常用漢字 同音の漢字による書きかえ 字体・字形 仮名現代仮名遣い 「じ」「ず」と「ぢ」「づ」 漢語に続

これ、「ハッシュタグ」じゃないんですよね……

これは「シャープ」です(n回目)。

「フンガトンガフンガハーパイ」どう区切る?

先日大規模な噴火を起こしたトンガ沖の火山島は、もともとフンガ・トンガ島とフンガ・ハーパイ島という2つの島でした。2014年から2015年にかけての噴火のあとに陸地が繫がり、一つの島になりました。したがって、この島の名前は一種の合成地名で連称、つまり対等な結びつきということになります。 現地のトンガ語ではHunga Tonga–Hunga Haʻapaiと綴ります。間にある横棒はハイフン(Unicode:U+2010)ではなく、enダッシュ(U+2013)という別の約物です。

引用符の順序が逆です

引用符は「‘」(Unicode:U+2018)「’」(U+2019)、二重引用符は「“」(U+201C)「”」(U+201D)の順で使用します。 「Windows」では、「Alt」キーを押しながら、テンキーで以下の各数字を押すとそれぞれ入力できます。 「"」(U+0022)と「'」(U+0027)は略式の表記です。

引用のきまり(4)──段落の扱い

引用元の文章が複数の段落で構成されている場合は、原則としてそのまま記載します。 この「沈殿」という文字、変だと思いませんか。飲み物に「殿が沈む」とは、一体どういうことなのでしょうか。 それもそのはず、これはとある理由によって、無理矢理変えさせられた表記だからです。 段落の区切りを省略する場合は、スラッシュ「/」(Unicode:U+FF0F)を用います。 この「沈殿」という文字、変だと思いませんか。飲み物に「殿が沈む」とは、一体どういうことなのでしょうか。/それもその

電話機のボタン「⚹」「#」は何と呼ぶ?

俗に、「⚹」は「米印」、「#」は「シャープ」と呼ばれますが、正しい言い方ではありません。 「⚹」(Unicode:U+26B9)は「スター」です。「米印」は「※」(U+203B)を指します。また、「アステリスク」(「*」、U+002A)とは違うものです。 「#」(U+0023)は「ナンバー」。アメリカでは「パウンド」とも。一般的な文書では「番号記号」ともいいます。「シャープ」(「♯」、U+266F)は音楽の記号です。

読点としてのコンマ

縦書きでは、読点は専ら「、」(Unicode:U+3001)を使いますが、横書きではこれに加えてコンマ「,」(U+FF0C)が用いられる場合もあります。 コンマを用いるのは1951年の「公用文作成の要領」で定められたもので、英語の影響によるものです。句点もピリオドにしようとする動きもあったようですが、見やすさの観点から「。」(U+3002)に落ち着いたそうです。 現在は公用文でも、「、」に変えることを文化庁が検討しています。

約物の使い方──アステリスク「*」

アステリスクは、半角で上付きの「*」(Unicode:U+002A)を使います。 一般的な文書では、脚註を表すのに用います。複数ある場合は、「**」のように重ねたり、「*2」のように数字を併用したりすることで区別します。 また、本マガジンでも用いていますが、言語学の分野では、非文と呼ばれる、文法的に成り立たない表現を示す用法もあります。「木を倒す(*木を倒れる)」のように、先頭に付けて記述します。 プッシュ式電話機のボタンにあるスターマーク「⚹」(U+26B9)とは異な

作品名の書き方、こんなときどうする?──作品名の中に既に括弧類がある

著作物名の表記法は、過去に本マガジンでお伝えしました。 では、著作物名の中に既に括弧類が使われている場合は、どうすればいいのでしょうか。 この場合、元の状態を保持したまま、上のルールに沿って記述します。 例えば、 超解読! はじめてのカント『純粋理性批判』 という書籍ならば、 『超解読! はじめてのカント『純粋理性批判』』 となります。これがもし雑誌の記事名ならば、 「超解読! はじめてのカント『純粋理性批判』」 となります。 括弧の入れ子のルールに準ずる

約物の使い方──亀甲括弧「〔〕」

亀甲括弧「〔〕」(Unicode:U+3014、U+3015)は、引用文の中で引用者が註釈を入れるときに用います。 これは、〔中略〕引用元の文献に敬意を払うというモラルの問題でもあります。 特に、原文に既に括弧があり、引用者の註釈と区別をする必要があるときに用います。 〔ウェルズ・ファーゴ〕が想定する最悪シナリオで、3月のGDPが半減すれば9000億ドルの付加価値(所得)が失われる。(亀甲括弧内筆者、丸括弧内原著) 次の記事も参考にしてください。

欧文では、括弧の前に半角空白が必要です。

また間違えていますね

欧文約物の使い方──アポストロフィー「’」

アポストロフィー「’」(Unicode:U+2019)は、欧文で使われる約物です。主として、文字の省略を示すのに用いられます。 以下、主な言語の用法をまとめました。 英語所有の接語 古英語の所有格語尾-esに由来するものです。単数形の所有は-’s、複数形の所有は-s’となります。 the bird’s(単数形) the birds’(複数形) be動詞、助動詞、否定 not の接語 I’m (<I am) He’ll (<He will) aren’t (<are

約物の使い方──チェックマーク「✓」

チェックマーク「✓」(Unicode:U+2713)は肯定を意味し、選択肢における選択や作業の完了の印などに用いられます。 片仮名の「レ」と形が似ていますが、別のものです。 日本の教育現場では答案の採点に不正解の印として使われますが、英語圏では正解の印として使われるところが多いようです。