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言葉の覚え書き

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2022年7月の記事一覧

「持ち回り」と「回り持ち」

「持ち回り」とは、稟議書のように関係者の間を順次巡ること。 順番に担当することは「回り持ち」といいます。

「魚貝類」?

シーフードのことを言うなら「魚介類」。 「介」は「甲殻」「甲殻で身を守る虫や貝」(『全訳漢辞海』第四版)を意味します。 ギョカイルイに「魚貝類」の字を当てるのは、単に「介」の字音カイを「貝」の字訓「かい」と取り違えたことによる誤記と思われます。それに、「魚貝」だと魚と貝のみを表し、エビやカニは入らないことになってしまいます。

「つば競り合い」?

「せり合い」の「せる」は「迫る」で、少しずつ間隔を詰める、少しずつ前に移動するの意。相手の刀を互いに鍔(刃と持ち手との間にある板状の部分)で受け止めて押し合うことから、激しく争う意の「鍔迫り合い」という言葉ができました。 よって、「つば競り合い」の表記は好ましくありません。

「1パーセント引き上げ」?

カナダの中央銀行が政策金利を1.5パーセントから2.5パーセントに引き上げました。 これを「1パーセントの引き上げ」としている国内のニュース記事が散見されますが、誤りです。 パーセントの変動幅を表すには、ポイント、またはベーシスポイント(ポイントの百分の一)を用いなければなりません。1パーセント分の幅は1ポイント、または100ベーシスポイントです。 カナダ中銀の発表には、「100 basis points」とちゃんと書いてあります。 なぜ変動幅にパーセントを用いてはい

読めますか?──「権柄」

ケンペイ。権力のこと。 「権」は秤の錘、「柄」は斧の柄のことです。 権力にものを言わせて横柄に振る舞うことを「権柄ずく」と言います。

読めますか?──「矍鑠」

カクシャク。老年でありながら、心身ともに丈夫なさま。 オノマトペに相当する連綿語の一種で、その中でも主母音と語末音(韻尾)が同じである畳韻に属します。すなわち、「矍」[kɑk]と「鑠」[ɕiɑk]とでは、[-ɑk]の部分が共通しているということです。 畳韻の例としては、他に「従容」「混沌」などがあります。