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言葉の覚え書き

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2021年8月の記事一覧

「疑惑追求」?

責任や欠点を問いただすのは「追及」です。

「腋」と「脇」

「腋」は専ら、体温計を挟む腕の付け根の下を指す語です。 「脇」は、「腋」と同じく身体の一部を表す語義の他、「脇道」のように、物のそば、へりといった意味も併せ持っています。

「否が応でも期待が膨らむ」?

ますます、なお一層という意味なので、ここでは「いや(弥)が上にも」です。

「規定路線」?

「既に」決まっているという意味ですから、「既定路線」です。

「人慣れ」?

動物などが人になつくという意味の場合は、「人馴れ」と書きます。「馴れ馴れしい」の「馴れ」です。「人狎れ」と書くこともあります。

一人で「斉唱」?

「斉」は、「一斉」という語があるように、そろった、並んだという意味なので、複数の存在が前提です。東京パラリンピックの開会式では歌手が一人で国歌を歌っていましたが、「斉唱」とは「同一旋律を二人以上で歌うこと」(『広辞苑』第七版)ですから、ここでは誤りです。 一人で歌う場合は「独唱」、複数人で別々のパートを歌う場合は「合唱」といいます。

「30歳」? 「30才」?

「歳」は、とし、よわいの意。「才」は、性質や才能といった意味を表します。したがって、年齢の意味を示しているのは「歳」の方です。 年齢に「才」を用いるのは、「年令」と同様、小学校で学ぶいわゆる「教育漢字」に「歳」が含まれていないことによる、学童向けの代用字です。

「年齢」と「年令」

「齢」は「とし」「よわい」と訓読みし、人の生まれてからの年数を意味します。「令」にこうした意味はありませんので、「年齢」が正式な書き方といえます。 「年令」は、「齢」が小学校学習指導要領の「学年別漢字配当表」、いわゆる「教育漢字」に含まれていないことによる、学童向けの当座の書き方です。

「Webサイト」

質問 「ウェブ」と表記するところを「Web」としている文章があまりに多い。「Web」は固有名詞でも略語でもなく普通名詞なのだから、他の外来語と同様に片仮名で書くべきではないか。 私も片仮名で「ウェブ」と書くべきだと考えます。 日本語の文字体系では、漢字、平仮名、片仮名の3種を用いるのが原則です。ラテン文字を使うのは、「WTO」などの略語や「iPhone」といった商標などに限られます。 「ウェブ」は、今となっては普通名詞化した感もありますが、もともとは「ワールド・ワイド・

「コンピュータ」

computerを発音記号で示すと/kəmpjúːṭɚ/と語尾が軽い長音となっているので、これに従うと「コンピューター」となります。 語尾の長音符を省略した「コンピュータ」の表記は、日本工業規格(JIS)の規格票の様式の規格(JIS Z 8301:1996) にある「3音節以上の語は語尾の長音記号を省く」という定めによるものです。この規定は改められ、現行(JIS Z 8301:2019) では平成3年内閣告示「外来語の表記」によることとなっています。

外来語の表記

現在の日本語における外来語の表記は、原則として平成3年内閣告示「外来語の表記」に依拠しています。 それによると、外来語を書き表すのに「一般的に用いる仮名」をまとめた第1表に、「原音や原つづりになるべく近く書き表そうとする場合に用いる仮名」をまとめた第2表にわかれ、第1表の仮名を原則としつつ、必要に応じて第2表の仮名を用いることとなっています。 第1表には、日本語に本来ある音価と使用頻度が高いとされる外来の音価とが含まれます。第2表は、外来の音価の中でも比較的使用頻度が低い

命数一覧──小数

小数の命数は、1桁毎に下記のとおりです。 虚空より下の位については諸説あります。 実際に使用する際は、「2寸5分8厘」のように、一の位に単位を付けてから小数部分を続けます。

命数一覧──大数

日本語の命数法1634年(寛永11年)版『塵劫記(じんこうき)』による命数は次のとおりです。 千、百、十、一の4桁が下記の各命数の前に付きます。 英語の命数法hundred、ten、oneの3桁が下記の各命数の前に付きます。 billion以上は、ラテン語で数を示す接頭辞に-illionを付けたものとなっています。$${n}$$を示す接頭辞から、$${10^{3(n+1)}}$$を計算すれば値を求められます。 例えば、billionのbi-は2を示す接頭辞なので、$$

ヘンキョウの地

「辺境」は同音の漢字による書きかえ。元は「辺疆」。 前回お話ししたとおり、「疆」は境界、領域という意味です。