勤め人の受難とこれからについて

少し前になりますが、今年亡くなった伯父の法事で親戚一同が会する機会がありました。実家の両親は、高齢かつコロナ禍ということもあって参加を見合わせましたが、代わりに息子の私たちが出席することになりました(ちなみに、私は3人兄弟の末っ子です)。兄たちと顔を合わせるのは、実に3年ぶり。そこに2つ上の従兄も加わって再会を喜び合いました。お互い年を取ったせいか、話す話題も自分の家族や仕事のことなど、割と真面目な話題が増えました。そんな中、誰ともなくこんな言葉が飛び出しました。

「これからの時代は、個人事業主のほうが強いのかもな」

その日の参列者の中で、フリーランスなのは私だけ。8年前に会社を辞めた時には誹謗中傷と見紛うほどの猛反発を受けたものですが、時の流れはむしろ私に味方していたようです。

学校を卒業したらサラリーマンか公務員になることが半ば前提とされているような社会システムがある中で、昨今のサラリーマンを取り巻く環境の変化は過酷とも言えます。上記のような、羨望と不安が入り混じった感情を抱くのも無理はないでしょう。しかし、この風潮は今後も継続していくと思います。一旦就職してしまえば、よほどのことがない限り定年後の人生まで補償されていた時代は終わり、いよいよ自分自身のキャリアについて主体的に考えることが要請される時代に入ってきていると感じます。

そうした中で、私が皆さんにまずやってほしいと思うことが、自分のコントロールできる範囲を知ることです。私たちは、ともすれば世の中に無数にある選択肢の中から望んだものを選んで生きているかのように錯覚しますが、実際に選べているものは限られていることが多いです。私自身、サラリーマンを辞めて初めてその限界に気づきました。そのような限界を把握することは、今後の活動を考えるうえで大きなステップになり得ます。仕事やプライベート等で、自分がこうしたいと思っていることがどこまで実現できるのか、できているのか、できていない部分があるとすれば何が障壁になっているのかを今一度見極めてみてください。そのうえで、既に実現できていることや実現可能な領域については譲れない最低ラインとして堅持することです。そうすることで、自分が今後どのような人生を歩んでいきたいかの指針が確立されるはずです。

さらに大切なのは、そのようにして明らかになった自分の守備範囲を広げていくことです。具体的に言うならば、日常のルーティーンを離れて違う世界に触れるということです。一般的にはボランティアをはじめとする社会活動が想定されがちですが、副業にチャレンジすることも一つの方法になり得ます。個人的には趣味レベルの取り組みでも全然いいと思っていますし、YouTubeで配信を始めるというのもアリです。要は、そうした活動を通じて自分自身の中にある新たな可能性を発見する機会をつくることが重要なのです。また、外部からの反響がある活動であれば自己客観視のきっかけになりますし、その内容次第では自信にもつながるはずです。こうして出来ることを増やしつつ、やりたい事とやりたくない事を選別することで、自分がこの先歩むべき道筋がはっきりしてくると私は考えます。

現代はVUCA(ブーカ)の時代と呼ばれ、あらゆるものの将来予測が困難な状況になっています。私たちの親世代が生きてきた時代とはほとんど真逆の世界となっていますが、直面している現実を嘆いているばかりでは何も進展しません。取り巻く環境を自分自身で変えていく、能動的な活動が少なからず求められています。「こんなはずではなかった」と思うことが僅かでもあるならば、自分が大切にしている価値観や考えに立ち返って人生の再構築を図ることをお勧めします。

今日はここまでにしておきます。

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