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EBM教育- S. lugdunensisを使った振り返り

AI、DeepL時代で我々の扱えるリソースは爆発的に増えました。
そんな中での文献検索の実践の話です。

昨日の研修医との振り返りの一部です

臨床的疑問:Staphylococcus lugdunensisの1/2血液培養陽性における真の菌血症の確率は?
Short Answer: おおよそ40%程度

・前提知識:Staphylococcus lugdunensisはコンタミとして簡単に流してはいけないCNSで、血液培養から出たら治療する。

以前の順番はUpToDate→システマティックレビュー→一次文献

UpToDate EBMから

UpToDateの前にPerplexityに入れてみます。
※Perplexityの欠点はリソースデータがwebでひっかかるデータに限られるところです。つまり有料版のデータにはアクセスできていないと思われます。

https://www.perplexity.ai/

Staphylococcus lugdunensisはコンタミではなく扱うべき、という一般的な情報とともに、
・S. lugdunensis菌血症の症例49症例のうち12症例で血液培養が複数陽性(おそらく2セット)、37症例で血液培養が一セット陽性であったことを明らかにしている。あとは参考文献を読みましょう。。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0732889322002000

次にUpToDate
UpToDateは菌毎のデータはあまりないのですが、Staphylococcus lugdunensisは別格の扱いで、しっかりとりあげられています。

キーワードはsingle positive

・1/2陽性のケースでは45%の症例で臨床的に重要であった。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21270222/
・2/2や持続の場合は感染性心内膜炎に注意。よくまとまっています。

最後にmandellのCNSの項目を一緒に読みました。

Mandell

教科書のいいところは全体像をとらえられるところです。
CNSで覚えておくべき菌は3つ、
S. haemolyticus, S.lugdunensis, S.saprophyticus

S. haemolyticus: 2-3番目に多いCNSで 院内のCRBSIが多く、他にも皮膚軟部組織感染症、尿路感染、髄膜炎、感染性心内膜炎、その他様々なデバイス感染を引き起こす。
S.saprophyticus: 女性の約5%~10%の直腸または尿生殖器に定着しており、性的アクティブな女性の尿路感染の原因菌になる。季節性(晩夏と秋)に好発し、性交渉または月経に続いて起こり、膣カンジダ症と併発することがある。

最後にmandellのS. lugdunensisのまとめです
・ MALDI-TOF-MSを用いてコアグラーゼ陰性菌種と臨床的意義を関連付けると、S. lugdunensis分離株の40%が感染リスクと関連する
・S. lugdunensisはS. aureusよりもはるかに頻繁に様々な皮膚や粘膜の部位にコロニー形成するため、術後の心内膜炎などの感染性リスクになる。
・S. lugdunensisが他のCNSよりも様々な病原性因子を産生するためであると考えられている。

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