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タタール人の砂漠 を読んで 20231110

どこの町かわからないんだけど、士官学校を卒業して中尉になったドローゴが辺境の国境にある砦に配属になって出かけていくところから始まる。


作者はイタリア人でオーストリアとの国境に近いところに生まれたらしい。そこのアルプスの険しい風景と、若い頃にいったエチオピアの荒涼とした砂漠の風景とを合わせた背景を作ったようである。

解説にもあったが、人生の縮図というのを描いた小説であった。

人生において、何か成功をもたらすようなものがやってくる、チャンスがやってくるといった幻想を若い頃に持ち、それをただ待ち続けて日々を過ごして、人生の後半に何も起こらずあっという間に時間が流れていって、やがて自分の描いていた人生とは異なる形で死を迎える。

多くの人にとって人生とはそういうものなのではないだろうか。

そんなことを、幻想的な風景の中で過ごす主人公を通して語ってくれているものであった。

なんとも読み応えのある本であった。

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