図書館にネーミングライツ、その是非は?
ちょっとびっくりしたのが、大阪市のこの内容。
と思ったら、すでにほかの自治体でも行ってたんですね。
で、元職としてこれらの情報を改めて精査したところ…
契約内容に問題がある
と感じました。
当初私は、ネーミングライツに関してはどうなのかな…と懐疑的でした。それで調べたところ、ほかの自治体の状況も含めて
名前だけ見てどこか全く分からない様な付け方
に疑問を感じました。
例えば大阪市の場合、辰巳商会中央図書館となっています。これはハッキリ言って
NG
です。なぜかと言えば、
それでどこにある図書館なのか、分かりますか?
という配慮が全くないから。
例えば、長野県立図書館の場合
は、
内田洋行とのコラボ
ですが、
名前の意図にロジックがある
というのが掲載されている。これはこれで狙いが明確なので、私は元職としても前向きに今後周知徹底することで改善していけばよい、と判断できた。
しかし大阪市の場合、単純に
会社名+中央図書館
なだけ。これみて、どれだけの人が公共図書館だとすぐわかるでしょうか。まず思い浮かべるのが
企業の図書館なの?
というものではないのかな。(ただし、個人的な感想に過ぎないことを付記しておきます。)
それに、元職として言えることとしても
図書館利用者にとって、所蔵先の明瞭さも重要
なんですよ。これは利用者・職員両方にとってなんです。
利用者が検索で地元にない書物・資料を利用しようとした際、なるべく近くの自治体から借りようとなる。その際に、どこなのか?が分かりづらいと利用されなくなってしまいます。
つまり、大阪市の中央図書館の愛称が検索システムに反映されると
① あれ?これってどこだっけ?
② なんかよくわからないから、他探そう
という流れになると思う。職員側であれば、慣れていけばそのうち気づくでしょう。しかし利用者は地元でもない限り頻繁にみる訳ではないから、近いことがわかる前にほかに行ってしまう。結果的に中央図書館が利用されなくなるリスクが高まる、と思うのです。
ネーミングライツによる愛称は検索システム上の名前とは別扱い、というなら検索環境においては直接的な影響はないでしょう。しかし、どうも内容を見ていると
愛称を定着するように努力する
となっていた。でも大阪市の場合、二年間の契約。で、問いたいのは
二年後に打ち切りになり、その後違う会社と契約したらどうなる?
というもの。また一から愛称を浸透させようとするんですか?となります。
ケチ付けまくってますが(苦笑)、私は別に大阪市政に批判的になっている訳ではなく、自分の感覚として
メリットより、リスクの方が大きくないですか?
という疑問がぬぐえない。ここでのポイントは二つある。
① 余りに金額が安すぎる(年額200万って・・・)
② 余りに期間が短すぎる(2年間で浸透させるって・・・)
この二点が余りにもリスキーじゃないか?と。年間200万で、中央図書館の何が改善されるのか?そもそもそのお金は中央図書館が100%使うのか?など。
ですので、私は大阪市のネーミングライツ自体を批判したいのではなく
この内容は、利用者のためにならないのでは?
と意見として述べておきたいです。利用者のため、
大阪市の、中央図書館だよ
と分かるような、資金提供してくれた企業側とWIN-WINになれるような契約内容にしていただけないだろうか…と願いたいですね。心から、そう願いたい。
最後に、批判ばかりで済ませてはいけないのでこれに対する私の考えを残しておきます。
① 契約期間の長期化(5-10年を前提とし、現れない場合は無理に契約をしない)
② 契約したお金は行政の予算に入れるのではなく、契約した図書館の予算へ直接繰り込むこと(ココが重要)
③ 企業側と積極的に協業を行い、周知徹底と職員間のコミュニケーション(親睦)を図る
④ 愛称は検索システムに反映しない。その代わり、自治体内の案内板などに旧名と愛称を併記する(利用者への配慮)
重要な部分はこの4点だと思います。
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