あなたの知らない登録販売者の世界②資格取得
自分は登録販売者という資格を持っていて、第二類・第三類医薬品を販売できます。知名度が低くて世間でも馴染みのない資格。
この登録販売者資格について、ちょっとお話しようかなという記事です。ちなみに前回の話はこちらからどうぞ。
ドラッグストアに入社した新入社員さんが通る関門のひとつが、登録販売者資格の受験。ここ数年の合格率を調べたら40%前後と低め。
絶対に取らなきゃいけないわけじゃありませんが、会社の雰囲気的に「社員は受けて当然」と取らなきゃいけない空気ですね。覚える仕事がたくさんあるのに、並行して試験勉強は大変だと思います。
平成26年までは受験にも条件が必要でした。それは医薬品販売の実務経験を1年以上積んでいること。ドラッグストアなどで1年以上働かないと試験を受けられなかったんです。
しかし条件が撤廃され、誰でも受験が可能に。その代わり資格者として売り場で販売するには、ここ5年間で2年分の実務経験が必要になります。
正確には「ここ5年間に月80時間以上の実務経験」なので、ぎゅっと働かなくても大丈夫。受験前に条件を満たすこともできます。
試験は各都道府県で行われており、日程もある程度バラバラ。会場や受験回数の縛りはないため、何度でも受験できます。チャンスが数回あると思ってください。
ただし受験料がお高め。各都道府県によって異なりますが、だいたい13000~18000円くらい。こんなの何回も払いたくないよ。
自分が受験したのは10年くらい前……だったと思います(10年越えた記憶が曖昧)ドラッグストアで働き始めて3~4年くらいの頃。
「竹乃子くん、登録販売者の試験受けてみない?」
当時の店長から気軽な声かけがあり、自分も気軽に答えました。
へぇ~そんなのあるんですね。じゃあ受けてみます。
資格が施行されたのは2009年6月からなので、1年経ったか経っていないかの頃。マイナーすぎて内容も分からず、重要性なんてまったくの不明でした。
軽いアドバイザー程度の資格だろう。試験ていっても簡単そうだし、取ってみようかな——甘い考えで書類をもらって申し込み。
本屋さんに問題集が売っていると教えてもらい、一冊やってみようと新宿の大きな書店に足を運びました。
えーと……あった。どんな問題が出るのかな。ちょっと見てみよ。
ペラペラ。ペラ。
これ、ガチのやつですやん……(ガクガクブルブル)
そこで初めて、試験内容と難易度の高さについて知ったのです。
問題は「薬事に関する法規と制度」「医薬品の特性や基礎知識」「医薬品と人体の働き」「医薬品の作用」「医薬品の適正使用や対策」の5項目で全120問。マークシート形式です。
成分に関する専門用語が当たり前のように書かれ、五臓六腑や血管に関して詳しく知っていないと解けない問題がずらり。
法律に関しては「レジと医薬品コーナーの距離は〇メートル以内と定められている」など聞いたことないものばかり。そんなルールあるの?
自分は文系に進んだのは理系がからっきしだったから。それに大学で法律は学んだけれど、薬機法(旧:薬事法)の講義なんてなかった。
ヤバい試験を受けることになっちゃったよ……。
落ちたくない。
受験を決めた以上は合格を取りたい、という負けず嫌いな性格が自分を奮起させました。あと職場で気まずくなるとか、受験料を払っちゃったからという理由もあります。
専門用語の意味を覚え、過去問を解きまくり、必死に勉強。社会人になって一番勉強した期間ですね。
試験当日は運も味方についてくれたおかげでしょう。なんとか一度で合格することができました。本当によかった……本当に……。
でも一番衝撃だったのは合格後ですね。どうも『販売従事登録』というものをしなければならず、それにまたお金がかかる。たしか7000~8000円ほど(これも各都道府県で異なります)
受験料払って、問題集買って、合格したのにまだお金払うの?
そんな悲しい気持ちになりながら東京都庁に行った覚えがあります。
しかし合格後は資格者手当がつくようになるのでお給料はアップ。元は充分取っていますよ。
それから登録販売者資格は重要性を増し、現在はドラッグストアで重宝されるステータスとなりました。ここまで貴重な資格になるとは思ってもいなかったのでびっくり。
資格を持ってるって、やっぱり強いんですね。