紅麹による健康被害が話題になっているので調べてみた

最近、紅麹から作られるサプリメントによる健康被害が話題になっています。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240327/k10014403771000.html

小林製薬が販売する「紅麹」の成分を含む健康食品の摂取後、消費者が腎臓の病気を発症した事例が報告されています。これを受け、同社は該当する3種類の健康食品の自主回収を進め、厚生労働省による聞き取り調査で2人目の死亡事例が明らかにされました。

紅麹は、血中のコレステロール値を正常に保つ効果があるとされ、ヨーロッパや日本を含む世界各地で販売されています。実は、欧州では2014年に紅麹由来のカビ毒に関する基準値が設定されており、日本の食品安全委員会もそれを公表しています。

問題の中心にあるのは「シトリニン」というカビ毒です。シトリニンは、腎障害や腎臓癌との関連が指摘されている毒素で、一部の紅麹カビが生産することが知られています。しかし、中国や台湾、沖縄では、シトリニンを生産しない紅麹を用いた伝統的な発酵食品が長い歴史を持っています。

このたびの健康被害を巡る議論の中で、注目されたのはシトリニンの有無でした。小林製薬による遺伝子解析の結果、今回問題となった紅麹カビはシトリニンを生産しないことが判明しています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/myco/advpub/0/advpub_72-2-1/_pdf/-char/ja


さらに、騒動後に会社が行った製品分析でもシトリニンは検出されませんでした。

こうして、シトリニンが直接の原因ではないことが示されたわけですが、それでは何が健康被害の原因なのかは、まだ解明されていません。現在も、何らかの想定外の物質が混入した可能性を含め、広範な調査が進められています。

この一連の事態は、サプリメントを含む食品の安全性に対する関心を高めるものです。消費者としては、サプリメントを選ぶ際には成分の安全性や効能、さらには製造企業の信頼性などを慎重に確認する必要があるでしょう。また、規制当局には、食品安全基準の見直しや、より厳格な安全管理体制の確立が求められています。この問題を通じて、食品の安全に関する意識が一層高まることを期待します。


2024年6月5日追記

4月19日に製品からプベルル酸が検出されたことが報道されました。
また、5月29日に製品の原料を製造していた工場の紅麹製造室の「培養室」などから「プベルル酸」を生成する青カビを検出したと報道されました。

このプベルル酸が腎障害を引き起こす原因となったようです。

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