【自家製サッカー概論】68 残留争い 偶感
明治安田生命J1リーグ第27節、札幌-湘南戦では、見事、湘南が競り勝ち、貴重な勝点3を積み上げた。
J1は残り7節である。
残留争いも、徐々に激しさを増してくる。
現在、最下位は勝点21の湘南。
そのすぐ上は、勝点22の横浜FC、さらに勝点26の柏となる。
その上は勝点30で新潟(15位)と京都(14位)だ。
今季は降格が1チームという稀有なシーズンで、自動降格はいつもの2チームから一つだけとなっている。
そうは考えても、最下位の湘南と新潟、京都との勝点差は「9」。
残り7試合なら、新潟・京都とも、まだ安心はできる差ではないのではないのか。
昔、京都を取材していた時、この降格争いを何度か経験しました。
あの泥沼の争い、あれは本当に嫌なもんですよ。
とにかく、あの泥沼にハマらない様に(何とかしなくては!)と、色々考えたもんです。
そんな経験もあり、湘南が意地を見せて札幌から白星を挙げたのを見て、なんかちょっと感動。
さらに、この勝利で(残留争いはまだまだ分からないな)と思ったのである。
かつて、取材の渦中に身を置いた者として、この残留争いでつくづく思ったことがある。
それは、
「降格するチームは、降格するべくして降格するんだな」ということ。
特にシーズン終盤になると、これが顕著に表れる。
「この試合に勝たねばならない」という試合が続く。そして、そんな試合で幸先よく先制する。
「お、この試合勝てるんじゃね」。そう思ったのもつかの間、最後は逆転負けを喫している。
そんなことが起こるのである。
泥沼感ってこんな感じである。
こうなるともう「降格するべくして降格するチーム」に認定される。
そんな光景を見て来た。
だから、そんな泥沼にハマらず札幌に勝利した湘南にちょっと感動したのです。
この泥沼にハマらないためにはどうしたら良いか。
その答えは単純で、「降格圏からなるべく離れる」ことだと思う。
残留争いの一番しんどい所は、クラブ全体に漂う重苦しい空気なんです。
(次勝てなかったら……)。
そんな考えが頭にずっとある。
そんな精神状態で試合に臨む。
これでは思い切ったプレーも出なくなる。
そんな重苦しい雰囲気を少しでも遠ざける。
そのために、少しでも下の順位から離れなければ。
そう思ったのである。
京都が出来るだけ降格圏にハマらない様に……。
特に監督が代わったシーズンのスタート時は意識してました。
出来るだけポジティブな形でゲームに送り出してあげる。
泥沼を避けるための作業は、開幕から始まっていたのです。
そして、不運にも泥沼にハマりそうになれば、次にすることは、良い点を抜き出して自信を持たせて試合に送り出す。
少しでもポジティブに、少しでも前向きに。
選手が思い切ってプレー出来る様に……。
これから、降格がちらついてくると、当該チームには様々な批判が巻き起こります。
それが選手にも影響を及ぼすのは当然で、それが自然とチームを深みにはめていくのです。
そんなチームを見るのは本当に辛い。
だから、サポーターの皆さん。
出来るだけ選手を、そして、チームを信じて、皆が勝利を信じて走り切れる様に背中を支えてあげて下さい。
さて、残り7節。例年のことだけど、悲喜こもごものドラマがこれからまた始まるのです。
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