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息子のいちばん速い日

新型コロナウイルス流行が落ち着いてきたこともあって、今日は息子の中学校で体育祭があった。
学年ごとの開催で、各家庭1名までの観戦が許された。
中学校最終学年ということもあり、1つでもこうした行事を開催することができて本当によかったと思う。

2年ぶりの体育祭となり、息子の走る姿を見るのはとても久しぶりなことに気づいた。

息子は走るのが遅い。とても遅い。
どのくらいかというと小6で小1に抜かれるくらい遅い。徒競走では最下位しかとったことがない。
それでも、「走りたくない」と言ったことは一度もなく(あ、一回だけあったなかな)、高学年になってからは市のマラソン大会に自らエントリーするというモチベーションを持っていた。
しかし親の私はと言えば、小学校6年間。運動会や持久走大会のたびに憂鬱で、いつもモヤモヤしていたことを思い出した。

でもこれは仕方のないことなのだ。
小さい頃大病をして、貧血状態がデフォルトだった息子にとって、全身の力を振り絞って走るなんていう行為は不可能な状態で幼少期を過ごしてきたのだから。
薬の影響で太り、その後薬を止めても太り続け、重たい身体も相まって、小学校時代の走り方はまさに「走る?なんですかそれ?おいしいですか?」という感じだった。

ところが。
ところがである。

今日の息子は速かった。
地面を力いっぱい蹴って、ずんずん走っている。
「オレ、速くなってるみたい」なんて、言ってたけど…
先生からも「速く走れるようになりましたね。」って声かけられたけど…

本当だった。
息子はとうとう走り方を体得したようだ…

痩せて身軽になったのと、背が伸びて一歩の距離も格段に長くなったのもあるだろう。
最下位どころか、前を走る人を追い抜く勢いで走っている。
クラス全員のリレーだったのだが、3位くらいでバトンを手渡したのではないだろうか。

泣いた。

今日は息子が15年の人生で一番速く走った日だ。
だけど、この15年の日々の毎日が、彼にとって一番速い日だったはずだ。
明日はもっと速く走るだろうし、1年後はもっと速くなる。
一番をとって欲しいんじゃない。
自分の力で可能性を広げられるようになって来たのがとても嬉しい。


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