見出し画像

第5回 「医科歯科連携」で、地域医療の土台を築く

みなさんこんにちは。長崎県 西彼杵郡 長与町「渡辺歯科医院」で受付を担当している出田(いでた)と申します。暑い日が続いていますが、体調、崩されていませんか?よく食べ、よく眠り、今年の夏も元気にすごしましょう!

前回に引き続き、今回のnoteは「渡辺歯科医院、未来へのチャレンジ」編をお届けします。

なんでも、これまで地道に取り組んできた「訪問治療」や「定期検診」に、新たな動きがあるのだとか。子どもから大人まで、この町に暮らすみなさまの健康を支えたい!そんな渡邉威文院長の思いが、形になりつつあるようです。

スクリーンショット 2021-07-24 13.33.59

医科歯科連携で、長与をもっと健やかに

ーー それでは渡邉院長、今回もよろしくお願いします。これまで、訪問治療にでかけたり、小学校の歯科健診を担当したりと、地域の医療に積極的に関わってきましたよね。これらの取り組みを通して、心境の変化はありましたか?

試験的にはじめた「訪問治療」は、相変わらず好評をいただいており、継続して行っています。心境の変化……そうですね。「父の代から引き継いだ患者さんの治療を続けたい」という考えから一歩進み、最近は「患者さんの健康を守りたい」という想いが強くなりました。当初と比較して、治療に対する姿勢も変化しているように思います。

ーー これまでは、定期的なクリーニングや入れ歯の修理などをされていたんですよね。「健康のための治療」とは、どういった内容になるのでしょうか?

年齢を重ねるにつれて、カラダの状態はどんどん変化していきます。病気をして病院に掛かることも増えるし、何種類もの薬を服用するようになるかもしれません。

患者さんのカラダの変化を歯科の視点から支えるために、医師との協力関係を強化し、サポートしていく体制が必要ではないかと考え、「医科歯科連携」に取組み始めました。

画像7

ーー 医科歯科連携というと、一人の患者さんを、歯科医と医師で診ていくのですね。

そうです。ただ医科歯科連携を実行するためには当然、医師の協力が必要になります。ですから、まずは連携により得られるメリットを医師のみなさんに知っていただく必要があると考えました。

ーー それで、どうされたんですか? 

当院の患者さんのなかでも、血圧が高い方や糖尿病がある方のかかりつけ医にお手紙を書き、こちらから医科歯科連携の提案をしていきました。

ーー 相変わらず積極的ですね(笑)。反応はいかがでしたか?

積極的な歯科治療や定期的にクリーニングをするだけで、病気のリスクが下げられることを伝えると、多くの医師が関心をもってくださいました。現在も協力していただける医療機関は、少しずつですが増えています。

かかりつけ医からの紹介で、渡辺歯科医院に来院される患者さんもいらっしゃるので、集患にもつながっているんです。

ーー かかりつけ医の紹介なら患者さんも安心でしょうし、患者さんが歯科クリニック選びに迷うこともありませんね。医師と歯科医が協力して患者さんを診ていく体制が、どんどん強固になっているんですね。

患者さんに来ていただく以外にも、担当医から直接ご連絡をいただき、治療方針の相談をうける機会も増やしていこうと思っています。つい先日も、「こういう患者さんがいるんだけど、歯科医としてどう考えますか」と相談のお電話をいただきました。その時は電話で、患者さんの治療方針についてお互い意見交換をしました。とても有意義な時間でしたね。

画像7


ーー 異なる知見をもつ専門医とのディスカッションは、新しい発見がありそうですね。

そうですね。例えば、骨粗鬆症の治療中の方が服用しているお薬のなかに、歯科治療で重篤な副作用が出るものがあるんです。もし投薬治療をしていることを知らずに歯を抜いてしまった場合、抜歯跡から細菌に感染し、顎の骨の内部まで壊死してしまうリスクもあります。歯科・口腔外科では広く知られている薬の知識ですが、整形外科の注意が向けられるようになったのは、ここ最近のことのようです。

整形外科と歯科の連携により、リスクを未然に防ぐことができますし、協力してより良い治療法を導き出すこともできるでしょう。

ーー 局所的な症状の改善でなく、総合的な健康維持に役立てることができるようになるのですね。

「訪問診療」の場合、介護職の方々も深く関わってくるので、医科歯科さらに介護、とさらなる連携も生まれているんです。

画像7

医師、歯科医、ケアマネージャー……。各々が知見を出し合い、患者さんの健康のためにチームで動いていく。地域ぐるみで長与に暮らすみなさんの健康を支えている実感があり、大きなやり甲斐を感じています。

今後は、親子の虫歯ケアの啓蒙活動も視野に

ーー 自分をよく知る医療チームが近隣にいることは、地域に暮らすみなさんの安心にもつながりますね。地域といえば、先生の母校でもある小学校で、歯科健診をはじめたとお話していましたよね。そちらはその後いかがですか?

小学生の口の中を診て感じるのは、虫歯の多い子と少ない子が、二極化しているということです。さらに、当院を訪れた親御さんの口内を診るうちに、虫歯が多い子のご家族も、同じように虫歯が多いということがわかってきました。

ーー 顔や性格だけでなく、口内環境まで似てしまうんですか!? 一体何が原因なんでしょう?

お母さんやお父さんと同じお皿やスプーンをお子さんが使うことで、“垂直感染”した可能性が考えられます。虫歯菌は小さい頃に親から子へ移るケースが多いと言われているので、虫歯予防は最初が肝心。

画像7

もし垂直感染がおこっていれば、永久歯が生えはじめる5〜6歳頃には、虫歯菌はすっかり口腔内に定着してしまうでしょう。

ーー 5、6歳で!?「もっと早くに知っておきたかった!」という親御さんも多いでしょうね。

さらに遡ると、妊娠中に歯周病を発症したり口内に細菌が入ったりすることで、早産のリスクが約4倍になるという研究結果もあるんですよ。妊産婦の口腔ケアは健康づくりのために、かなり重要なポイントになっているんです。

ーー 知らないことばかりです。この事実、知りたい親御さんはきっと多いですよ!この先、どこかで歯科指導をすることも考えていますか?

いずれ、何らかの形でみなさんに伝える機会を作りたいとは考えています。いまは、少しでも啓蒙になればと、歯科健診で小学校に行った際、保健室の先生や校長先生に直接お話するようにはしていますが(笑)。

ーー たしかに、指導のプロである先生にお伝えするのも、一つの手ではありますね。それにしても、ずいぶん学校の先生たちと仲が良さそうですね。

地元の小学校の先生は、みなさん本当に人柄が良く話しやすい方ばかりなので、いつもつい長々と雑談してしまうんですよね(笑)。健診結果だけでなく、子どもたちを診て気付いたことや、気になったことを、雑談に交えながら共有するようにしています。

ーー やっぱり先生は、閃いたらとにかく行動!なんですね。先生の姿を見ていると、このエネルギーの源は一体何なんだろう?と感じることもあります。

治療をしていると、どうしても患者さんの口内だけでなく、その周りの疾患や生活習慣にも意識が向いてしまうんです。でも、治療中に感じたギモンを素直に行動に移し続けた結果が、地域での連携体制強化につながったのだと思います。これからも自分のポリシーに従い、長与のみなさんの健康維持のために動き続けていきたいですね。

画像7

【後記】

持病と歯科治療の関係性や親子間での虫歯菌感染リスクなど、健康づくりのために歯科に託された役割は、想像以上に大きいことを知りました。

「もう銀歯が入っているから…」「削ったあとの歯だから…」と半ば諦めている方も、ぜひ一度、渡辺歯科医院にいらっしゃってください。私達にお手伝いできることが、きっとあるはずです。

さて、次回のテーマは「渡辺歯科医院で働く」。少し視点を変え、就労環境の紹介や社員教育についてご紹介していきますよ。次回の更新をお楽しみに!それではまたお会いしましょう。

◎ 長崎県 西彼杵郡 長与町にある“街の歯医者さん” 渡辺歯科院のHPはこちら。歯のこと、健康のこと、お気軽にご相談ください!

スクリーンショット 2021-07-24 13.45.37


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?