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2020/10/03(土)

今月3日(土),4日(日)の2日間にわたり、新潟県新潟市秋葉区にある文化会館にて、演劇作品『走れ!ロコモーション』が上演された。全3回の公演の内、今回、私は第1回の公演を観劇した。

新津と鉄道との歴史は、切っても切り離せない。新津という街に誇りを持つ人々の姿が、本作を拝して印象に残った。SL= Steam Locomotiveにプライドを持つ男たち(いわゆる「ぽっぽや」)と、それを支えた女たち、そして彼ら・彼女らの姿を見ながら育った子どもたち。鉄道とは、走っている分は「カッコいい!」とか「便利だな」と、眺めて感じるけれども、この作品を通して、それを支える人々が大勢いて維持されているということに、恐れながら思いを馳せることができた。

個人的には特に、劇中における「秋葉区芸能協会」の方々の、新津で親しまれる甚句の披露に圧倒された:目の前で聴くことができたからだ(新津の歴史を伝えるための劇伴として歌われるシーンがあった。)。生身の体から発せられる歌声は、やはり何にも勝るもので、その圧力に心が動いた。ほぼ最前列に着席していたが、披露する際の唄い手の姿勢など、歌に注力する者として、幾らか勉強にもなった。

上手いとか醜いとか、まったく以てそういうことでなく、新型の感染症に翻弄される現下の状勢にあっても、市民の方々のリアルな息遣いが、痛いほどこちらまで伝わってくるような、デジタルでない何か……それが、目に留まらぬ内に迫り来る感覚は、やはり大切にすべきだと思った。

私はやはり、芸が好きだ— 客席に座るのも、舞台に立つのも。2部構成で2時間ほどの上演であったが、素直に楽しむことができた。歌唱もダンスも盛り沢山の構成であった。

舞台とは、開始直後は、観客も役者も力んでしまって空気がキシキシしがちだが、物語が進行するに連れ次第に解けてくる。今回もそうであったからか、作品の後半には比較的観やすいとの感じを持った。主人公の「加藤朱鷺子」は、作品を終始しなやかに支え、実に爽やかな印象だった。演じられた役者さんは、お芝居は好きなのだろうか。

どの年代でも楽しむことのできる演出だった点も、また印象に残る。さらに、コーラス隊は作品に彩りを与えるのに、大きな役割を担っていた。随所に感染症対策への工夫も垣間見られ、コロナ禍での舞台を敢行することの苦労が浮き出ていた。この力は、一種の情熱と呼んで好かろう;深い敬意を表したい。本作のすべての関係者に、ここでお礼を申し上げる次第だ— 楽しい時間を、どうもありがとうございました!

こうした取組みを通じて、他所者ながら、市民の皆様が価値ある歴史を意識し、新津という街をながく愛していかれることを、切に願います。

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