Vol.70 心と心でつながる

 あと少しで3学期が終わります。今のクラスの子たちと過ごすのも残り数日ですし、卒業する6年生の子たちと会うのも残り数日です。校舎が変わるので、今のクラスの子たちとも6年生とも会うことが難しくなります。ずっと一緒にいたからこそあんまりその実感はないのですが、きっと別れてから強く実感するんだと思います。先週はそんなことを考えてしまう自分がいたので、寂しくなっていました。ですが、「いまをだいじに」すること。今、ともに過ごしている一瞬一瞬を大事にしようと心がけて過ごしています。

 3月がすごく苦手な自分ですが、少しでも楽しく、たくさんの人とかかわりながら過ごしていきたいです。

 先週の金曜日に最後の道徳の授業をしました。前に学年を一緒に組んだ先生から教えていただいた「いいとこあるやんかゲーム」という教材をつかって行いました。何年か前に教えていただき、ずっと年度終わりのこの時期ぐらいにやっています。簡単に説明すると

  • ランダムで友達の「よさ」を書く

  • 自分では見ることができない「よさ」を友達に見てもらう

  • 書いてもらった自分の「よさ」を読む

  • もう一人の自分と出会う

友達の「よさ」を書く時にはオルゴールを鳴らしながらちょっとした雰囲気づくりをします。ぐっとその人を見つめる空間づくりもします。

 昨年度までの子たちもこのゲームを大事にしてくれている様子でした。学期の終わりが近づくと「いつ、いいとこあるやんかゲームをするの?」と言ってくれる子たちがいました。

 今年度の子たちとやるのは初めてだったので、どんな場になるのか楽しみでした。

 最初に話すこのゲームの意図を聴いているときの姿勢、書いているときの雰囲気、書き終わってからの過ごし方、なにも言わなくてもグッとくるものがありました。僕は、後ろでみんなの様子を見ていたのですが、いろいろ思い出しながらみんなのことを見ていました。

 最後、自分の「よさ」を書いてもらったシートを受け取り、それを一人一人が読んでいる時、「心に響く言葉があったんだろうなぁ」と感じました。

 この授業を終えた時に、人からよさを見つけてもらうこと、自分が認められていることを実感すること、大切にされていることに気づくことといった、「心と心でつながる」というようなことって大切だなと思いました。

 「いいとこあるやんかゲーム」での子どもたちの姿を見て、僕は今年度、なにか見失っていたことがあったんじゃないかと思いました。僕は、子どもたちの学びを中心に毎日の授業を考えてきました。それ自体はすごく大切なことで、一人一人がよりよくなろうとすることを支えるようなことがこれまで以上にできるようになってきたんじゃないかなと思っています。ですが、一人一人が生きるときの支えとなるような部分って「学ぶこと」だけじゃないと思いました。

 一人一人様々なことをおもい、悩み、どうしたらいいか打ち明けられず、自分の内側だけで困っていることってあると思います。でも勝手に大きく捉えてしまっていることもあります。そんなときに、「あなたのここが素敵です」という言葉をもらえるだけでスッと心が軽くなることってあると思うんです。その言葉が教師(大人)からだけじゃなくて、同い年の人からもらえるというところにグッとくるものがあると思います。

 自然な形で「よさ」を伝えることも大切ですが、おたがいの「よさ」を見つめる場をつくることも大切だなと思いました。

 もっと、ともに過ごす空間を充実した場にできるようにしたいです。もっと人として目の前の子たちとともに空間をつくっていく。そのために、全体の空気感や一人一人の様子を捉えていく。その場で今なにを大事に過ごすのかと考える。そして、僕ができることをする。一緒につくっていく。それが「心と心でつながる」ということに近づくのかなと考えています。

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