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合気道開祖、植芝盛平がスリに逢った話


合気道を創り、歴史に残る達人の一人でもある、植芝盛平がなんとスリに逢ったという。しかもその時のエピソードが何とも面白い。

スリを警察に突き出した!?

一瞬でボコボコにした!?

いやいや、そうではないんですね。達人ならではの「スリの対処法」とでも、言いましょうか、とても面白いのでご紹介します。

ある日、私が先生のお伴をして市電に乗っていた時、私は気がつきませんでしたが、スリが先生の懐の財布を狙っていたのです。

先生は必ず和服で洋服はほとんど着られなかったので、先生が懐に手を入れているのを私は知っておりましたが、何をしているのかわかりませんでした。電車が角筈に着いた時、先生は「あなた十銭おちましたよ」と一人の男にいわれました。

その十銭は、先生が自分でわざわざ落としたものです。私は不思議でたまりません。何の縁もない人間に金をどうしてやるのか、判然としなかったので先生に訪ねてみました。

先生は、「折角取ろうとしたのに取れなかったから、わしはあたえたのや」とこともなくいわれましたので、はじめてあの男がスリだったのかと気がつきましたが、スリもさぞやつらかったことと気の毒な感じにもなりました。

合気道人生 竹内書店新社 著 塩田剛三 79項 

どうでしたか?

スリにお金を与えるとは、中々出てこない発想ですね。

まさにこれこそ、合気道なのかもしれません。

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