【歴史本の山を崩せ#025】『天幕のジャードゥーガル』トマトスープ
《巨大なモンゴル帝国を振り回した「魔女」の物語》
秋田書店のマンガサイトSouffleで連載中。
単行本はボニータコミックスです。
主人公は13世紀のイラン東部で奴隷として買われた天涯孤独の少女。
ファーティマと名乗る彼女こそ「魔女」「呪術使い」といわれたファーティマ・ハトゥンです。
世界史上空前の破壊力を誇ったモンゴル帝国のなかで生き抜くため「知」を唯一の武器として闘う少女の物語。
日本でモンゴル帝国といえばチンギス・ハーンと元寇だと思います。
ファーティマ・ハトゥンと言われてピンとくる人は1%もいないでしょう。
それだけに専門家ではない一般読者が気軽に読めるような類書は皆無です。かくいう私自身、一応は中国史を専門にしているので当然、簡単な通史レベルの知識は備えていなければいけないのですが、モンゴル帝国絡みの時代は正直苦手です。
こういうときにマンガというのは実によいです。
マニアックな歴史ネタをマンガにしてくれるというのは嬉しい限りですね。
こんなマンガがもっと増えて欲しい。
西洋にトラウマを植え付けるほど、殺戮と破壊の限りを尽くした血なまぐさい時代なのですが、そこはトマトスープさんの、ほのぼのとしながらも力強い線で描かれた絵とストーリー構成でサクサクと読むことができます。
基礎知識がなくても大丈夫!
単行本はまだ1巻。
続きが楽しみです。
『天幕のジャードゥーガル』
著者:トマトスープ
出版:秋田書店(ボニータコミックス)
初版:2022年
定価:600円+税
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