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議会が紛糾!さいたま市が「放課後子ども居場所事業」のモデル事業を開始。問題点は?

 9月議会に提出された、4つの公設放課後児童クラブと「放課後子ども居場所事業」のモデル事業がスタートすることについて、党市議団として対談をおこないました。対談メンバーはたけこし連(中央区)、久保みき(桜区)金子あきよ(南区)、とばめぐみ(見沼区)です。

放課後子ども居場所事業の概要は

たけこし 今議会で問題となった「放課後子ども居場所事業」ですが、どんな事業なのですか?

金子 小学校内の特別教室などを利用して、校区の児童であれば誰でも登録でき、定員のない「子どもの居場所」を提供する事業です。
保護者の就労などの要件があれば夜7時まで、土曜日や長期休業中は朝8時から利用できることとしています。今回はモデル事業として4校(西区栄小、中央区鈴谷小、浦和区岸町小、岩槻区新和小)が選ばれ、来年4月1日からスタートする予定です。
この4校の公設放課後児童クラブは廃止、今議会には事業の内容を定める条例案と現行の公設放課後児童クラブの廃止案、実施のための補正予算が提案されました。

金子あきよ市議

たけこし 保健福祉委員会ではどんな議論がありましたか?

久保 9月15日の委員会では、全議員から様々な質疑が出ました。特に多かったのはこの4校の選定理由です。それぞれの待機児童は0~5 人と少ない。
鈴谷小だけは26人であるものの、あらたに民設学童が開所されて待機児童はいなくなる予定で、市もそれを分かっていた。事業の導入目的としている「待機児童解消」は嘘ではないか、と大騒ぎになりました。
もう 1つの目的は分離、新設の時に場所探しが大変なので、保護者の負担軽減のためとのことでした。でも保護者会運営のクラブでは、委託費が少ないために事務職員が雇えず、保護者が支援員の面接をやったり、保育料計算をやったりと事務負担が大きい。そのため委託費を増額してほしいというのが願いなのに、その声には応えていない。私は到底納得ができませんでした。

たけこし 実態にも要求にも噛み合ってないってことですね。

久保 しかも、市は「今後、モデル事業による子どもたちへの影響などをしっかり見ていきたい」って言いながら2025年度も新たに展開するというんです。

たけこし モデル事業の検証もしないうちから次を用意している。もう全校実施を視野に入れてるんですね。

久保 それから支援員。放課後児童クラブ健全育成事業の配置基準は子どもの数に応じて細かく決められています。
ところがこの事業では20人に1人。放課後児童クラブとしての配置基準より手薄になってしまう。
それからおやつの時間は5時とのこと。今の「3時のおやつ」が「5時のおやつ」になる。常識的に考えて、5時におやつって遅いですよね。いずれにしても、子どもの安心・安全を守れる体制とは言えません。

3パターンの子どもが混在する

たけこし 補正予算が出たので、予算委員会でも問題になりましたね。

とば 分かりやすくするため、図にまとめました。Aが 利用料8000円で7 時まで利用できる子ども。Bが利用料4000円で5 時まで利用できるの子ども。A・Bは登録する子どもたちで、Cは、登録せずに学校で遊ぶ子どもたち。その他にチャレンジスクールが各校で実施されていますが、ABC の誰でもこのチャレンジスクールに参加していい、となっている。
A と Bの子どもには居場所事業として大人がつく、チャレンジスクールのある日はボランティアさんもいる。この ABC が混ざった「居場所」の中で、その子に誰が責任を持つのか、どう共有するのかを質すと、「分かるように引き継ぎをしっかりやります」という答えでした。
そもそも誰が見てるかわからないのに、どうやって引き継ぐんでしょう。そういう曖昧な答弁がいろんなところで出てきました。

市の報告書をもとに党市議団が作成

たけこし 放課後の学校にA・B・C と、3 パターンの子どもが混在するんですね。

とば それを誰が判断できるのか、ってことです。A の子どもは放課後児童クラブの子どもだから、支援員が分かるでしょう。だけどBの子どもは日替わりで、登録しているけど行くも行かないも自由だから、今日誰がきてるのか、ちゃんと出席取るのかっていうことも、よくわかってない。

金子 先行自治体では全校生徒の3~4割が登録、そのうち半数が毎日利用する見込みのようですね。

とば 例えば 600 人の学校で200 人程度の生徒が登録、来るのはその半分、と見込んでいるものの、最大200 人来るかもしれないわけですよ。

たけこし その時、200人のランドセル、一体どこに置くんでしょうね。

とば 人件費の予算は、この事業全体で 7000万円、4 校で 37 人のうち 7 人が常勤職員(新和小1人、それ以外の3校は各2人)で 30 人はパートだということでした。放課後から最後までずっと通して子どもを見てくれる人はいるのかと質すと「いる」とは答えましたが、本当に検証できているとは思えないです。

金子 そうですね。こういう体制では、何より子どもが不安ですよ。5時までの時間帯は、これまで放課後児童クラブで行われていた活動はできない。
「これまでどおりの子どもに寄り添った支援を受けたいという人は民設の放課後児童クラブに行ってください」と担当課長が答弁しました。びっくりしましたね。
私は「わかりました。この事業では子どもに寄り添った支援はできない、ということですね」ときっぱり言いました。

とば それから担当部長の「この放課後子ども教室と放課後児童クラブは子どもを安心・安全に見守るということについては、何ら変わりはございません」って答弁もありました。
放課後児童クラブの指導員っていうのは安心・安全に見守るだけじゃないわけです。事例研究して、もっと子どもを理解するにはどうしたらいいかってことをみんなで勉強してきて、子どもの豊かな放課後を保証してきたのが放課後児童クラブです。
その人たちと長年付き合ってきた部長が、ただ見守るだけだって言い切った。この答弁も本当に許せなかったです。

とばめぐみ市議

各会派の採決態度は?

たけこし そういう中でそれぞれ討論採決、となったわけですね。各会派の態度はどうだったんでしょうか。

久保 多くの放課後児童クラブの関係者の方たちが連日、議会傍聴に詰めかけた中、私は先ほど申し上げた問題点を指摘して反対しました。維新も反対でした。しかし賛成多数で可決されてしまいました。

久保みき市議

金子 私たちは予算委員会でももちろん反対しました。しかし、他の会派は「丁寧な説明を行っていくべき」と言いつつ賛成、無所属の2人の議員は反対でした。
維新は保健福祉委員会では反対でしたが、予算委員会では賛成しました。予算に賛成すれば、結局事業は進んでしまいます。

たけこし 市として準備不足なのは否めないなかでも、市としては押し通したし、それを色々いうけど議会は止められなかった、という関係だと思うんです。

久保 その影響が結局誰にいくかっていうと子どもたちです。子どもにしわ寄せがいくのは許せないですね。

とば これかたモデル事業の推移を厳しくチェックしていくことが必要ですよ。

たけこし 党市議団として、今後も言うべきことをしっかり言っていきましょう。


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