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やきとりキングのこちら側から(5) オミクロン株以降の営業報告

非常に感染力が高いコロナウイルスのオミクロン株が世の中を席巻しています。友人の感染報告もちらほら聞かれて、これまでとはまた違う状況に移行していることがわかります。
オミクロン株は感染力がとても強い一方で重症化率が低いとされています。実際検査で陽性反応が出たけれど無症状であるというケースをよく聞きます。もちろん亡くなる方もいらっしゃるので不用意な事は言えませんが、少なくともコロナ元年とも言える2020年時期に比べたら死に至るリスクは低くなったと考えて差し支えないでしょう。にも関わらず社会の恐怖心は2020年当時のそれと似ている、またはそれ以上のようにも感じられます。そのこと自体への私見の言及はひとまず控えまして、今年に入ってからのお店側から見たオミクロン株による社会の変容について書いていきたいと思います。

オミクロン株の広がりからの変化

デルタ株が終わるかと思われた昨年末あたりからオミクロン株という新しい変容ウイルスの話題が出てきました。その当初から弱毒性だけど感染力が強いと言われていましたね。それを表すようにネットで連日のように芸能人やスポーツ選手のコロナ陽性のニュースが流れてきました。
お店の方はというと新年から少し値上げ(串焼き80円→90円)をしました。それに毎年一月というのは少し売り上げが落ちるものです。多少落ち着いてきたかな、という売り上げ推移はありましたが僕が望むレベルで高止まりしていて良い傾向だと思いました。
そんな中オミクロン株の猛威はニュースで毎日取り沙汰されている通りです。
そして1月21日から東京都のまん延防止等重点処置が適応されました。

まん防が適応される少し前からやきとりキングへの来客はまたも増加しました。
人数の増加だけでありません。お客さん一組あたりの一回の買い物の量が多くなりました。それまでに比べ一回の買い物で2000円以上使う人が多くなりました。家族や友人の分も買って帰る人が増えたのはこれまでのまん防ならびに緊急事態宣言の時とは違った傾向です。
あとお弁当を3〜4個まとめて買っていく人も増えました。
一方で18:00以降の客数はなんとなく減ったように思います。早めに買い物をする傾向にあるのかもしれません。

コロナ禍以降の売上は水物と思って「いつか終わる、いつか終わる」と思っていたのですが、売れ方に特徴はありますが結果はあまり変わらず現在に至っています。
緊急事態宣言、まん延防止等重点措置などが発令されるとお客さんが増えます。リモートワークなどの影響で地域人口が増え、外食を回避して家食を重要視する気運が高まったという事だと分析しています。不安をベースにした感覚である以上、この傾向はしばらく続くと思われます。
やきとりキングとしては結果スケールしたことは喜ばしいことですが、他方それは社会経済の衰退を示しているとも言えます。どういうことかというとローカルに閉じこもるという事は社会を大きく強く動かす都市部の経済が弱くなるということです。人が出かけなくなる、人と集わなくなるという事は経済の観点からみても、人間のダイナミズムの観点からみても、縮小再生産にしかなりません。それらのバランスが整うことではじめて日本国の成長を目指すことが出来るのではないでしょうか。
とはいえコロナ禍以前から日本は衰退の道を歩んでいたと思います。かつてものづくり大国と呼ばれた国内の産業は、完全に世界の潮流に乗り遅れていました。活路を見出していたインバウンド政策もコロナ禍になり完全にその道を閉ざされました。
昨今の値上げラッシュはまさに資源に乏しい国であり世界的な政治力を失った証左と言えるのではないでしょうか。
そんな現状においてまずはそれぞれが自立していけるように頑張らなければいけません。それにも関わらず、コロナ禍の影響とはいえ人は著しくやる気を失っているように僕には見えます。うちのような業態は幸運なことにそんな世の中にマッチしたのですが、だからこそ信念を持って地域の食卓を支える存在として毎日頑張っています。それは僕達なりの社会に対するメッセージです。

私達はコロナウイルスの被害者として生き続ける訳にはいきません。コロナ禍がいつか終わるように、いつまでも補償金が出るわけではありません。今の状況を受け止めながら、それぞれの生活を守りながら、それでも自分がそもそも持っていた信念を忘れてはいけないと思います。

僕達はラッキーだったと思います。その幸運を前提にこのような偉そうな事を書いていることに反発されるかもしれません。だけどそのラッキーを引き寄せたのは長年両親が努力して店を維持してきたこと、僕が来て新しいチャレンジをしてきたこと、地域活動や音楽活動で繋がった人たちとの友情などの結実です。つまり幸運を引き寄せたのは僕達の努力と不可分であったということです。
僕も少し前まで「自分たちは単にラッキーだったのだ」という謙虚心を持つべきだと思っていましたが、それは間違った謙虚心だったと反省しています。両親と僕と、そしてスタッフとして毎日共に働いてくれている笹木君の頑張りであることを謙遜によってキャンセルするのはとても失礼なことだと思い直しました。だから僕はあえてこの状況で売上を維持している事を誇ることにしました。

社会の状況的にはまだしばらくコロナ禍の混乱は続きそうです。国家や自治体が煮え切らない対応を続けていくことに不満はありますが、それでも僕達は生きていくしかありません。最後に少し情緒的な言い方になりますが、共に協力しながら、学びながら、しっかり地に足を付けて頑張っていきましょう!

僕にとっての「地」は「東長崎」です。皆さんは皆さんの地場で活躍なされることを祈念します。

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