「エモい」のがお好きなら、BTS(防弾少年団)の花様年華を聞くべし

防弾少年団の「RUN」は、イキった少年群像劇

前回「BTS(防弾少年団)の沼に落ちたのは、週刊文春の下ネタのせい。」では、防弾少年団にはまったきっかけとして、『週刊文春』の連載で防弾少年団の「RUN」を聞いた近田春夫が、『可愛いなりで、ドスが効いている防弾少年団は和モノにない凄み』と表現したことを書いた。それを読んで、YouTubeを見始めた私は驚いた。

物語で見せるPVはこれまでに見てきたが、本人たちは歌いもしないし、ただ演技をしている。それだけでなくファッション性、映像の美しさ、ストーリー性に驚かされた。それぞれ何か事情を抱えた様子の少年たちが、とにかくイキっている。

そして、エンドロールで流れる美しいメロディが、気になる。え、MVそれぞれつながった物語なの!?と気づいて、次に見たのがこちら(公式じゃなくてごめんなさい)。

青春のほろ苦さに胸がしめつけられる。親と疎遠な不良少年たち(おしゃれ)が身を寄せ合い、慰め合い、裏切られ、自殺未遂に至る様子を描いている。しかも、なんか時空・次元を超えているっぽい。

イキッていると思いきや、童心に帰った少年たちが海で遊ぶとか、車を走らせてブインブイン風を感じるとか、肩寄せ合って焚火を囲むとか、夕焼けの海に飛び込むとか、エモい。大好物が過ぎる。

青春の塊やんけ…と感動。しかし一方で暗い側面もあるMVに、心揺さぶられて、涙が流れた。

このアルバムのタイトルは「花様年華」。意味を調べると「人生で最も美しい瞬間のこと」。アルバムコンセプト、MV、曲、それぞれがすべて一貫した作品になっており、壮大な物語なんだと理解した頃には時すでに遅し。韓国の青少年の悩み投影したかのような、メンバーの個性に合わせて作られたキャラクター像を覚えて、沼に落ちていく。

たくさんのARMYたちが、このMVの世界で起きていることについて考察をしているので、気になったら探してみてほしい。私も読み漁った。この設定はこの後のアルバム「WINGS」にも出てくるし、「LOVE YOURSELF ~起承轉結~」でも続くので、知っておいて損はないと思われる。コンセプトブックも発売されている。

そして、2016年5月に「FIRE(プルタオルネ)」が公開された。


イキッた少年設定は変わらないけれど、SUGAが黒い人物の手を握って、カチッとラジカセ?を押すと燃えるという超絶かっこいいスタートに、随所に出てくる映画のオマージュのようなユニークな世界観。キッチンコンロでDJするJ-hope最高。そして大盛り上がりの3分33秒。

「これは、BIGBANGを超えるかもしれないグループが現れた」

そう直感した瞬間だった。ちなみに歌詞も最高。「好きなように生きろよ どうせお前の人生なんだから。負けてもいい」なんて言っちゃうアイドルすごい!と、純粋に思った。

スマートフォンの時代だからこそのアイドル

Youtubeを漁り始めると止まらないのが、BTS(防弾少年団)のすごいところ。とにかく、コンテンツ供給が豊富。絶やさない。スマートフォンだけあれば、彼らのことを好きになることはたやすい。

バキバキのパフォーマンスだけでなく、素の彼らの姿が見られて、この子はちょっとアホなのかな~(V・ジミン)とか、物を壊しちゃうのかな~(RM)とか、存在がにぎやかだな~(J-HOPE)とか……。顔の見分けがついて、キャラクターがわかってきたら、れっきとしたARMYの一員。

そんなかわいらしい彼らの一面とは一変、花様年華シリーズの横浜アリーナの映像を見つけたときは驚いた。文春で書かれていたように、とにかく「ドス」が効いている。ラッパー陣だけでなく、V(てひょん)は、がなるように声を出したときの破壊力がすごい。Dangerを歌っていたときに思った。

防弾少年団は、作曲、作詞にメンバーが関わっていることも知った。曲を聞き、歌詞を読むごとに、曲作り、HIPHOPに対して本気だと感じた。RMは、中学生からラップを始めてアングラ界で活動をしていたし、SUGAもスタジオアルバイトをしながらラップ&曲作りをしていた経緯があるそう。とにかく、K-POPアイドルはキャリアのスタートが早いし、それで生きていく覚悟もあると思う。そして、他のメンバーも才能と可能性を感じる背景を持ちながら、中学~高校生で練習生になり、防弾少年団としてデビューしたことを知った。

アルバム化されていないが、「Born Singer」は名曲。彼らの覚悟、デビュー後の気持ちを知ることができる曲である。「3分で蒸発した俺の3年分の血と汗」と、後の作品にもつながると思わしき歌詞が出てくるので、ぜひ和訳を探してみてみてほしい。

花様年華シリーズの「MA CITY」も、お気に入りの一曲。それぞれのメンバーの地元紹介が入ったスペシャルな曲なのである。地元の代表になることや、自分のことを語るのがHIPHOPの基本だと思うが、実際に自分のことを歌った曲を、私自身はK-POPのHIPHOPソングで聞いたことはなかった(※一個人の感想です)。超新鮮な体験だった。

この曲も、ライブ動画を見つつ和訳を探して読んでほしい。

(防弾少年団好き、音楽情報サイト「bmr」編集長・丸屋九兵衛さんいわく「MA CITY」のメロディは、ケンドリックラマーの曲に似ちゃっているというお話もある。彼らのHIPHOP好きは本物…と丸屋さんは好意的に紹介してくれているが)

そんな人生=音楽な、彼らの本気度にすっかり魅了され、6月、8月にはライブへ。正直、パフォーマンス力、歌唱力はBIGBANG先輩方の個人の力に及ぶ実力ではなかった。アドリブの少ない演出でアーティストというよりは、曲と踊りをこなすアイドル歌手かな……とも感じた。が、猛烈にまた見たくなった。それは成長が楽しみだからという、私個人としては自分が楽しむというより、応援するという新しい目線だった。

そして、防弾少年団のパフォーマンスだけでなく、アルバム、映像作品、曲、パーソナリティのわかるおふざけコンテンツで人間性がわかってきて、深く深くハマっていった。

2015~2016年頃の彼らの映像で好きなのは、週刊アイドル(Weekly Idol)と、デビュー日記念(?)のラジオ風番組。サマーパッケージマレーシア編。笑いが絶えず、変な彼らがとてもかわいい。

そして、2016年10月。アルバム「WINGS」を発売する。このアルバムとリリースで展開されたキャンペーンが、とにかく魅力的だった。そして、EXO(SMエンターテインメント)が絶対王者となっていたK-POP界で、大賞を受賞。少年ジャンプ的展開にEXOファンも防弾少年団ファンも涙した。WINGSアルバムについては、また改めて書こうと思う。

とにかくスマートフォン時代のマーケティングの読みがめちゃめちゃ鋭く、とてもよい作品を作り上げていくBIGHITという事務所に頭が下がるばかりのオタクになっていた……。

次回は、メンバーを私の超主観で説明します。


画像1

↑dTVで、BTSのライブ映像19タイトル見られるそうです。ブルーレイをそろえると思うとお得ですね‥‥。

アルバムを買おうかしらと思った人は、同じ(再収録)の曲が入っているから驚いちゃうかもしれません、個人的には花様年華だったらYoung forever 、WINGSアルバムだったら、You Never Walk Aloneが好き…ですかね。毎度思いますが、もはや写真集が本体になっているアルバムが本当にかわいいです。制作スタッフすごい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?